旅猫リポート

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著者 : 有川浩
  • 文藝春秋 (2012年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163817705

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旅猫リポートの感想・レビュー・書評

  • 当分、犬猫は買わないな、私は。

  • 「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」というあまりにも有名すぎる出だしから始まる物語。大御所の名作と同じスタートを切るという勇気ある作家がいるとは思いませんでしたが、堂々実行に移したのは有川女史でした。

    主人公は雄の野良猫。彼がどんなふうに青年悟と知り合い、ナナと名付けられ、家猫になったかが丁寧に語られます。
    淡々とした日々が続いて行くようでしたが、いつしか悟がナナを引き取ってくれる友人を訪ねてあちこち訪ねるようになります。

    はからずも、旅猫となったナナ。
    犬と違って猫は旅をするの?と不思議でしたが、こうした結果としてならあり得ることでしょう。

    さすが野良猫は意欲旺盛、初めての土地に興味津々の様子。
    悟が訪ねた4人は皆、さまざまな学生時代の友人たち。
    ナナを引き合わせてみても、しっくりいかないとあっさり諦めて、次の候補者のもとへと向かう悟。

    かなりささいなところで預けない判断をしているところに、違和感を感じました。
    わざわざ時間をかけて遠くまで苦労して出かけている割に、あきらめるのが早すぎるのです。

    ナナは、初めて体験する環境に気を取られている様子で、あまり疑問は抱いていません
    悟も離したがらず、結局はナナを誰にも預けずに、連れ帰ります。
    わざわざ巡って周って、いったいどういうことだろう、といぶかしく思いますが、実はそのわけは、さりげなく少しずつ見えてきます。

    旅の途中や旅先で知り合う動物たちがナナに言ってくること。
    それは、ナナの主人から、とあるにおいがするということ。
    もちろん、言われる前からナナ自身も嗅ぎ付けていたことでしょう。
    語られなかっただけで、読者は途中までわからないままでいたというわけです。

    のんびりしていたロードノベルも、中盤辺りからは不穏な流れを見せ始め、みるみるうちに、怒涛のような展開を迎えます。
    その計算された構成力に抗えず、日なたぼっこをして油断していたら、一気に涙の川へと連れて行かれたような気分。読者はみな、中盤以降の先が気になってたまらなくなります。

    結局悟は叔母の元に身を寄せ、悟とナナ、両方の面倒を見てもらうことになります。
    一緒に旅をした楽しさと、一緒にいられる幸せは、もう長く続かないということを、誰よりもわかっているナナ。
    それでも今この時を精いっぱい生きるというのは、動物全体が持つ姿勢かもしれません。
    自分の運命を知った悟の悲しみ、懊悩の描写は極力省かれていますが、愛猫と別れることへの心残りは相当なものだとわかります。
    いよいよナナと離れなくてはならなくなった時の辛いシーンは、涙なくしては読めません。
    さらに涙腺をおかしくさせるのは、それからのナナの行動。
    はじめは警戒心の強い野良猫でしたが、悟を飼い主と認めてからは、犬のように忠実に、彼に愛情を伝え続けます。

    これは、猫好きやペットを飼っている人には、たまらない話ですね。
    私は顔が涙でぐちゃぐちゃになり、読み続けられるかわからないレベルになりました。

    楽しい結末は待っていませんが、読後はどこか明るい気持ちになり、満足感さえ持てます。
    人よりも死について怖がらず、ただひたすら前向きに生きていく生き物たちの姿勢に励まされるところが多いことに気づきます。

    シチュエーション的に『星守る犬』を思い出しました。
    飼い主と一緒に旅をしたあの犬のハッピーも、自分の主人がもう先がなくないことを知っていたのだろうかと考えます。

    動物ものはズルイですね。数日前に読んだ『パンとスープとネコ日和』といい、涙腺を簡単に壊してきます。

    この作品の実写映画化が決まったとのこと。
    どんな猫がナナに選ばれるのか、気になります。
    見たら間違いなく号泣するでしょう。

    登... 続きを読む

  • 有川作品の中で一番好きな作品かもしれません。
    物語の主人公は「ナナ」という猫。
    もともと野良猫だった彼は、交通事故に遭って行き倒れていたところを助けてもらった縁から、「サトル」の飼い猫になります。
    そして3年後、「のっぴきならない理由」から、ナナを引き取ってくれる人を探しに、サトルの友人たちに会いに行く旅が始まるのです。
    サトルの運転する銀色のワゴンは、二人にとって「魔法の車」です。素敵な出会いや景色に、すばらしい旅がつづきます。
    友人たちとの思い出話を聞きながら、ナナのネコの視点から描かれる、クスリと笑える物語です。

    クライマックスは何度読んでも涙が出そうになります。
    ふだん、感動して泣いたりしないので、自分でもびっくりしますが…。
    やはり、猫を飼っている身としては、サトルの気持ちもわかるし、うちのネコもナナみたいに感じてくれていればいいなあと思ったり。

    折に触れて読み返してもいいな、と思える作品です。

  • ネコ目線のお話。
    捨て猫を拾い、数年後に、なんらかの理由により、そのネコを手放さなくてはならなくなる。
    その飼い主を探す旅に出る。
    そんな話だと思って、読み始めたら。。
    手放さなくてはならない理由が徐々に明かされ、3.5章あたりから、涙なしでは読めなくなった。
    人生は、いろんなことが重なって、しろんな人に出会って、なりたっている。
    そんな当たり前のことがとても幸せなんだよなと、思わずにいられなくなる。
    この本は、何度も読みたい本だなー。。

  • 飼い猫ナナの貰い手を探すサトル。
    学生時代の友人たちを訪ねながら、明らかになるのはサトルの立派な人間性と彼がナナを手放す理由。

    ----------------------------------

    先に絵本を読んでいたので内容はわかっていた。死に向かっていく物語はとてもつらかった。
    ナナとサトルの相思相愛な関係が羨ましくて、死の淵まで互いを思い合う絆に感動しないわけにはいかなかった。

    サトルは立派な人間だった。小学校、中学校、高校から大学までの友人たち、彼らが思い出すどのエピソードを見ても、サトルが立派で最高に良いやつだということがわかる。

    時に立派過ぎる人間は周囲を傷つける。
    まっすぐに親とぶつかれる少年だったサトルは当時の親友にどんな想いをさせていたのか。
    中学のころの友人、親から”捨てられた”彼に対してサトルは何と言ったのか。
    高校から大学にかけて仲良く過ごした友人は自分の好きな人がサトルに惚れてしまわないかとずっと苦しんでいた。
    サトルは立派な人間だった。非の打ちどころのない太陽だ。だから、友人たちはサトルと一緒にいると自分の陰に気づいてしまう。自分の醜い部分を認識せずにはいられない。人知れず彼らは傷ついて、サトルを羨んだのではないだろうか。
    いつでも自分の気持ちに正直で、まっすぐで、誰からも動物からも好かれるサトル。眩しすぎる存在。

    傷は治るとき、元通りになるんじゃなくて、前よりも強くなる。それを成長と呼ぶ。
    何年も経って、サトルと再会した友人たちは成長してサトルみたいに立派な大人になっていた。


    いつも誰かを羨む側の人間だったので、気づいたらサトルの友人側に感情移入して読んでいた。
    立派で、太陽みたいで、いわゆる主人公みたいなひとたちは自分がどうやっても手に入れられないようなものを簡単そうに手に入れていて、いつだってそれが羨ましかった。羨望しかなかった。
    自分は主人公にはなれないけど、主人公たちと少しでも近づきたくて、あわよくば対等になりたくて色んな努力をした。無駄なこともたくさんあった。いまだって主人公的な要素は何一つない。
    だけど、主人公たちへの妬みがなければ現在の自分すらない、と思うと彼らに感謝せずにはいられない。
    そういう目線で読んだ。

    ----------------------------------

    死について思うこと。

    この数か月、死ぬとは実際にどういうことなのか?と考えるために色んな本を流し読みしてきた。医学入門のような本もあったし、哲学や宗教の本もあった。
    ”死があるから生きることができる”なんて、わかるようなわからないようなことが書いてある本もあった。
    心臓が止まれば”死”なのか。
    その人のことを誰もが忘れたときが”死”なのか。

    進行する病気で徐々に亡くなる人もいる。事故や事件、突発の病気で突然亡くなる人もいる。毎日たくさんの人が亡くなっている。

    結局のところ、自分にはよくわからない。哲学の本を読むと、もはや自分が生きてるのかも怪しいらしい。
    身近に死(自分の死でも周囲の人の死でもどちらでも)がやってきたときには自分の感情に正直な行動をしようと思う。それが正解なのかはわからない。
    わからないから、感情電車に乗っかって行くしかない。

  • 自分の飼っている猫を訳あって誰かにもらってもらう為の旅なのだが、思っていたよりも話は深く、思ってもみない展開になり、まさかの涙が読んでた電車の中で止まらなくなった。
    主人公の生い立ちを色んな立場から回想してゆく形が上手い。だんだん、真実が見えてきて、主人公の姿が浮き彫りになってくる。その姿に私は感動してしまった。猫と言うキーワードだけで読んだ本だが、良い本だった。

  • 後半は涙が止まらなかった。

  • 飼い主を見つける旅だとばかり 安易に思っていた。
    それ以上の深いものがあって 泣かずにはいられなかった。
    一度図書館から借りて 読む暇がなくて 返してしまったけど 最後まで読めて 幸せだった。

  • 甘々で最近避けがちだった有川さん。久しぶりに手にしたこの本に泣かされました。

    とある事情で猫を手離さなくてはならなくなったサトル。有利たちを訪ねて飼い主を探し旅をさはていく。
    最初は事情も書かれていないけれどそれがわかってからは胸が苦しくなりラストでは号泣。
    私はペットを飼っていないしそこまで感動しないと思っていたのにサトルとナナのお互いを思う気持ちに泣かされました。
    良い話でした。

  • なんだか泣けました。

  • 4.5 新幹線の座席で読んでて涙が止まらなくなってしまった。やっぱり私は猫派だ。

  • 猫との絆に感動した。猫の絆の深さ、旅をしていく中で、出会った友人たち、みんなが心温かく悟を受け入れ、ナナもご満悦だなと、ペットを通じて、命の大切さ、かけがいのない家族の一員であることを感じさせる。秘密を抱いた悟がナナと出会ったことにより、信頼関係を築き、何事にも代え難い大切な時間、濃密な時間を過ごしただろうと感じる。その秘密は余りにも切ないもので、辛いもので、運命を受け入れたくなくて、旅を意味するのはこれらかなと感じてしまう。限られた時間で得たものは大きく、暖かい愛情に包まれただろうと感じる。

  • 421

    2017年では55冊目

  • 何度読んでも、最終章で泣いてしまう。彼らの旅。

  • ルドルフとイッパイアッテナを思わせる話口。
    読み始めると、話の行き着く先は想像できてしまったけど、涙ぐみながら読んでしまった。

    しかし、死なせなくても良いのにと、つい思ってしまう私。死は、誰にでも訪れるものだけど。

  • 野良猫と暮しはじめた悟だが、訳あって愛猫の里親を探すことになった。古い友人を順々に訪ねて行き、悟の人生を振り返る。疲れず面白く読めたので、中高生にも向いています。猫好きにもおすすめ。

  • 久しぶりに本で泣いた。
    涙で読み難くなるぐらい。
    猫好きは勿論、動物が好きな人全てに読んでほしい!図書館で借りて読んだけど、気に入ったので文庫版買おう。
    17/3/27

  • サトルが猫のナナを事情があり手放すことになって、その引き取り手を訪ねて二人で旅をする。お見合い相手となるのは、それぞれの学生時代を過ごした友人たち。サトルがどんな想いでナナと過ごしていたのかと思うと泣ける。ナナみたいに飼い猫が飼い主を、また逆を思い合える関係が感動した。

  • 電車の中で読まなくてよかった。

  • ついつい引き込まれる作風と登場人物の色鮮やかさ。

    友情のあり方をこんなにも教えてくれる一冊。

  • 猫好きは心の準備をして読まないとダメです。正直はじめから結末は見えてたのに、だからこそだめだった。泣きすぎて読むのを何度も中断した。

  • 油断してた…、有川さんだった…。
    ラスト、涙が止まりませんでした。不覚。

    電車内じゃなくて、自室で良かった。人に見せられた姿じゃない…。

  • ネコ派かイヌ派と聞かれれば、断然イヌ派だ。
    イラストや写真のネコはカワイイと思うし、好きなのだけれど、生身の猫はちょっと苦手。
    子猫はまだしも大人の猫の、口を「ん」と閉じてこちらの様子をじーっと見る目が怖い!
    人間のことなんて全部お見通しのようだ。

    物語に出てくるネコも思慮深く、もののわかったように描かれることが多いように思う。この物語のナナもとても賢くてしっかりしている。

    野良猫生活をしていたナナは事故で怪我をしたことがきっかけでサトルと一緒に暮らすようになる。しかし5年後、よんどころない事情で飼うことができなくなったサトルはナナの新しい飼い主を探すため、知り合いのところを訪ねて転々と旅をはじめる。ナナと一緒に。

    旅が進むにつれてサトルの生い立ちや思い出話が語られ、次第に一緒に暮らせなくなった事情もあきらかになっていく。

    幼い頃にいっぺんに両親をなくすという結構ハードな人生を送ってきているサトルが、まるで出木杉君のようにできた人間なのに対して、脇役のキャラクター設定は人間臭くて、それが逆に魅力的だった。

    言葉足らずでマイペースなヨシミネや、サトルに恋愛がらみで引け目のあるスギ、言わなくてもいいことを言ってしまうノリコなどなど。そうそう、頑固で無神経なコースケのおやじも。

    実際にいるいる、と思える脇役たちが物語の中でいい味を出している。

    図書館スタッフ(東生駒):ノビコ

    ----------
    帝塚山大学図書館OPAC
    http://opac.tezukayama-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&category-book=1&category-mgz=1&materialid=1100380608

  • サトルとナナのロードノベル
    猫好きを狙ったあざとい本
    ・・・と、見せかけて、感動の
    涙にむせび泣いております
    2017年最高の一冊です

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旅猫リポートの作品紹介

発売前からブクログ登録数400越えの期待の1冊!

子供の頃から引越しを繰り返してきたサトルの相棒は猫のナナ。しかしナナを手放さなければならなくなってしまったサトルは、ナナの引き取り手を探すため懐かしい人々を訪ねる旅にでます。それはサトルの生きてきた道を行く先々で再確認する旅でもあったのです。旅猫リポートは波乱万丈な過去の秘密を抱えたサトルと相棒のナナの最後の旅の物語です。

旅猫リポートの単行本

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