旅猫リポート

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著者 : 有川浩
  • 文藝春秋 (2012年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163817705

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旅猫リポートの感想・レビュー・書評

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  • 本をさっぱり読まない娘に、有川さんの『三匹のおっさんふたたび』と
    『空飛ぶ広報室』にリボンをかけてプレゼントされたのは、クリスマスのこと。
    思わず涙ぐんでしまうくらいうれしかったのだけれど
    どうしてこの2冊? と、心の中に盛大な疑問符を描いていたのです。

    ところが数日後、暮れも押し迫ったシネコンのロビーで、この『旅猫リポート』を
    「クリスマスに間に合わなかったけど、これもプレゼントに追加ね!」と渡されて。

    聞けば、どうしても3冊セットでプレゼントしたかったのに、行動範囲にある本屋さんを
    ことごとく回っても、『旅猫リポート』だけ軒並み売り切れだったのだそうです。
    その日、映画を見るために車で出かける、シネコンの入っているショッピングモールに
    大きな書店があるのを思い出し、こっそり電話をかけて訊ねたら
    奇跡的に1冊だけ置いてあるとのことで、今日必ずお金を持っていくので、と
    頼み込んで予約扱いにしてもらい、やっと手に入れたとのこと。

    「この3冊が揃えば、ママの大好きな有川さんのキャンペーンに応募できて
    劇のチケットか、特別カバー版が当たるかもだから、忘れないで応募してね」
    と言われ、よりによってシネコンのロビーで、映画を観る前から
    映画にはまったく関係のないことでぽろぽろ泣いている、
    挙動不審なおばさんと化してしまったのでした。

    そんなこんなで、手にした瞬間から泣かされたこの本に
    読んでいる間も、読み終わってからも、さらに泣かされるとは。。。

    猫のナナがこれからも幸せに暮らせるよう、手放すための旅に出る心やさしいサトル。
    とことん一緒にいることが、自分にとってもサトルにとっても幸せなのだと知っていて
    そのことにサトルが気づくまで、辛抱強くお見合いの不成立を画策しながら
    サトルの旅につきあう、賢いナナ。

    車に轢かれ、とりあえず生き延びるためだけに声の限りに鳴いてサトルに救われ
    ナナという雄猫としては微妙な名前をもらい、サトルのために野良猫を廃業したのに
    一日にたった一度でもサトルに会うため、極寒の札幌で
    温かく不自由のない飼い猫の暮らしを捨て、
    吹雪の中をさまよう野良猫に戻るナナに、もう涙が止まりません。
    「ナナに会いたい」という、サトルの最後の願いをちゃんと察知して
    サトルに命を救われた日以来初めてあげる咆哮の切ないこと!

    でも、サトルとナナの出会いが、遠く離れた会うはずのない人たちを温かく繋げ
    人付き合いが極端に苦手な叔母さんに、
    人の輪に加わるきっかけと「自分の猫」を育てる喜びを与え
    そして何よりも、サトル自身、ナナ自身に、きらめくような喜びに満ちた
    5年間を与えてくれたことを、けっして忘れたくありません。

    こんな本に出会えるからこそ、まだまだがんばって生きて
    読めるだけ本を読むぞー!と思っているけれど
    「その時」がきたら、ママのお棺にはぜったいこの本を入れてね、と
    娘には頼んでおきました。

    そうすると、万が一、娘が本を読むようになった時、
    この本の感動が味わえなくなる惧れがあるので
    娘の分の『旅猫リポート』は、今度は私が買って、プレゼントするのです♪

  • はい、泣けました。とってもいいお話でした。
    ネタバレにもなりそうだし、みなさんが沢山素敵なレビューを書いているので今回は割愛。

    本当の猫好きとはなんぞやと考える。
    私の考える猫好きとは決してペットショップで愛猫に出会ったりしない。
    迷い込んで来たり、拾ったり、知り合いがもてあましているのを貰ったり。
    それはある種の偶然、運命みたいなもので猫は向こうからふらりと飼い主の元へやってくる。
    神様の贈り物のように。
    逆を言えば猫を飼いたいと思っていてもなかなか見つかるものでもない。

    猫好きは猫の種類を自慢したりしない。
    チンチラ?アメショー?スコティッシュ?それが何か?
    うちの猫、とっても綺麗な八割れなんだよ。
    うちの猫なんか両足ソックスだぜ。
    うちの猫の尻尾見て、変な形でしょ~。
    え、うちなんて三毛のオスだよ!!(←最強)
    愛猫家の猫自慢てこんな感じだろうか。

    この本に出てくる人々は私の考える猫好きさん達ばかりだ。
    私からまことに僭越ながら猫好き認定証を差し上げたい。

    さて、私が昔一緒に働いていたある女性の話。
    その彼女がある時猫を車でひいてしまったことがあった。
    命は助かったその猫を助けようと、とうに病院が閉まっている夜間、必死に病院を探した。
    やっと一軒の病院にたどりつき助けを求めると、獣医は怪我が治った後もこの猫に責任を持てるなら手術します、出来ないなら治療はお断りしますと。
    彼女は手術をお願いし、猫は助かった。
    退院後、彼女は事故現場近くに沢山の張り紙をして飼い主を探したが結局見つからなかった。
    足が不自由になったその猫は彼女の猫になった。

    この本を読んでふいに彼女の事を思い出した。
    きっと彼女とその猫は運命だったんだろうと。
    サトシとナナがそうだったように。
    私の運命の猫はどこにいるんだろう。
    おまえか?それともおまえか?と我が家の猫達をぐりぐりしてみてみる。
    手ごたえないな~(笑)

  • 泣くのは分かってたんです。
    でも読むのを止められなかった。

    自分もワケあって
    5年間一緒に住んでいた黒猫(ヤミクロと言います)と
    今離れて暮らしています。

    そして5歳で死に別れた親父や
    自分を捨てたお袋と最後に行った家族旅行の地が
    物語終盤の舞台となる北海道だったことなど、
    あまりに自分の状況や生い立ちとシンクロして
    どうにも涙が止まらなかった。


    5年間一緒に暮らしてきた
    サトルとナナという野良猫。
    しかしある理由から
    サトルはナナを手放さなきゃならなくなり、
    引き取り手を探すために
    銀色のワゴンに乗り
    昔の旧友の元へと旅立つことになります。

    ナナは新しい引き取り手と出会う旅の中で
    海の碧さや怖さを知り、
    富士山に圧倒され、
    馬や鹿に驚き、

    サトルが見たナナカマドの実の赤や
    完璧に弧を描いた二重の虹を
    一生覚えておこうと心に誓うのです。


    狩りをできない茶トラの子猫に
    生きる術を教えるナナのシーン、

    ナナと甲斐犬のトラマルの
    主人を想うがゆえの
    一歩も引けない喧嘩のシーン、

    まるで「俺たちに明日はない」の
    ボニーとクライドの名場面を思わす
    詩情溢れるススキの海の中
    ナナとサトルが
    お互いの絆を確かめ合うシーン。

    物語の中の印象深いシーンの数々は
    そのまま自分とヤミクロの思い出と重なり
    どうしようもなく
    胸を焦がしていく。


    最後までサトルの猫で居続けるために
    暖かい場所を捨て、
    野良になることも辞さない
    ナナの誇り高き魂。


    犬も猫も動物はみな
    見返りを求めたりしない。

    ただただ一所懸命に
    愛するだけ。

    動物に触れて
    初めてそれが柔らかいことを知って、

    世界は自分が思っている以上に
    柔らかくて脆いことを知ったし、

    震えてるあったかい小さな体は
    日だまりの匂いがして、
    愛しいという気持ちを初めて覚えた。

    言葉を話すことのできない彼らに
    人間が教わることは
    たくさんあります。


    しかし有川さん
    箱型のテレビは猫の乗り心をそそるとか、
    猫はいくら飼い主であろうと
    己の信ずるところに従うなど
    猫のことをホンマよう分かってるなぁ(笑)


    ああ〜
    無性にヤミクロに
    会いたくなりました(>_<)

  • 野良猫を謳歌していたのが、車にはねられ怪我したことをきっかけに、
    サトルの飼い猫になったナナ。
    5年間、家族として生活していたのに、どうしても飼うことができなくなり、
    銀色のワゴンに乗って、ナナの新しい飼い主を見つける旅に出る。
    小学時代、中学時代、高校時代の友だちのところへ。
    それはサトルの人生を辿る旅でもあり、ナナとの思い出を作る旅でもあった。

    久しぶりに、すっごく泣いてしまう本を読んだ。
    最近涙もろくて、ちょっと泣くくらいはよくあるんだけど、この本は…。
    夜中に読み出しただのがいけなかったのか、中盤から鼻水が。
    図書館の本、一部よれよれだったのは、誰かの鼻水か涙だったのではと思う。
    わかるよわかるよと、そのよれよれが愛おしい。
    ほろほろ。

    ナナを飼い猫というより、家族として大切にしているサトルだからこそ、
    ナナみたいな猫とも出会えて、ナナからも一緒にいたいと思ってもらえて。
    犬好きだけど、これは猫じゃないとダメな話だった。
    暖かい場所が好きで、狭い場所が好きで、ツンデレな。
    猫ってこんなに可愛いもんですか。
    身近に猫飼ってる人がいなくて知らなかった。
    今猫が近くにいたら、嫌がられても、ぎゅーっとしちゃうのになぁ。

  • とても良かった!
    有川さんの作品は、有川さんらしいなあとか、こういうところ上手いんだよなと思いながら読むことが多いんですけど、この作品は作者が誰か途中で忘れていました。

    別れを経験したすべての人に。
    別れを心配しているすべての人に。
    心温まる物語です。

    ある事情で猫が飼えなくなり、宮脇悟は猫のナナを連れ、銀色のワゴンに乗って、旅に出ます。
    飼ってもいいという幼馴染の友人たちを訪ねて。
    ナナは牡猫で、しっぽが数字の7のように曲がっているのです。
    ナナの視点からの話が自然で、サトルとの出会い、5年間の暮らしが楽しげに、そして秘密を抱えたサトルの気持ちもお見通しだったり。
    何とも猫らしくて、賢くて、いきいきしています。

    サトルが小学生のとき、スイミングスクールの友達だったコースケ。
    一緒に拾った猫を飼うのを親に反対されて、大騒動になった経験がありました。

    中学のときの友達の吉峯。
    高校のときの友達のスギとチカコ。
    そして叔母のノリコのもとへの最後の旅。
    転校が多かったサトルには、各地に大事な友達がいました。
    どこかすっきりしない感情を抱えていた友達にも、再会でまた心動くものが。
    サトルはあまりにもいい子なんだけど‥

    叔母のノリコが口下手なのも、何だかそれらしい。
    北海道でのナナの思いがけない行動に、もう‥
    生い茂る草葉が波打つように、雪原にも日差しは降り注ぐように。
    愛溢れる結びつきは、ある限界をも超えていくのですね‥
    猫とのつながりを実感している人には、もちろんのこと。
    哀しみがとけていくように暖かく広がる感覚は、多くの人に読んでもらいたい。
    何かあったときにはもう一度、読みたいと思わせます。

  • 有川浩という作家は、女心をよく分かってる人なんだ。
    “女性が選ぶ、好きな女性作家第1位”に選ばれた人だけに、女性のハートを鷲掴みするなんてのは、けっこう簡単なことなのかな。
    世の中、あまねく男は犬派が多いと思うのだけれど、女性は圧倒的に猫派が多い。
    ぼくのまわりの女性も、猫を見ると「わあ、かわいい」と無闇にはしゃぎたがる。
    ぼくに言わせれば、猫のあの警戒心満々の鋭い眼差しは、なにを考えてるのか想像できなくて、怖いところがありありなのだけど、女性はそんなことお構いなしらしい。
    猫に比べると、犬ってやつは正直すぎるほどの眼差しを向けてご主人様になついてくる。
    それも、嬉しいときは尻尾をぶるんぶるん振ったりして、なんとも単純なのだ。
    「女心は複雑なのよ」とノタマウ女性たちがミステリアスな部分を秘めた猫に魅かれ、単細胞だらけの男どもは馬鹿がつくほど真正直な犬に魅力を感じるという図式なのかな。
    かと言って、ぼくが猫を嫌いかと訊かれればそういうわけでもない。
    あの、触った時のふさふさとした毛触りは、何物にも代えがたい気持ちよさがあるし、ミャーオという鳴き声もかなり男心をくすぐるところがあるのは否定しないよ。
    でも、やっぱり男のぼくとしては単純な犬の方が好きなんだ。

    さてさて、このお話は、女性から支持されるナンバーワン作家有川浩の面目躍如という作品だ。
    悲劇的な生い立ちの男の子サトルと彼に拾われた野良猫ナナとの物語。
    一人と一匹の間には熱い友情が芽生えるのだけど、理由あって手放すことを余儀なくされ、新しい飼い主を探してサトルとナナは日本中を旅することになる。
    その理由とは何かって? これがまたとっても悲しい理由なんだ。
    かわいらしい猫と悲しい運命を持った少年のストーリー。
    それを猫のナナの目線でもって、愛するご主人サトルとの旅についてリポートするんだ。
    出てくるサトルの友人たちもみんな本当にいい奴ばかり。
    コースケも、ヨシミネも、スギとチカコも、それぞれ違う年代で友達になった奴らなんだけど、誰もが優しい。
    サトルとだけ接点を持っていた彼らが、最後に集まってみんなが友達になるとこなんて身体が震えたよ。
    猫と少年と友情、こう来たら、もうお涙頂戴の鉄板作品でしょう、女性にとっては。
    男のぼくだって、ところどころで涙と鼻水が零れ落ちてきて困ってしまったのだから。
    女性が読んだら、もうティッシュペーパーなしには最後まで読みきれないんじゃないかな?

    内容についてはネタバレになっちゃうから詳しくは書かないけれど、猫好き女性にはたまらない感動作品であること間違いなし。太鼓判押してもいいぐらい。
    有川浩さんが女性に人気がある理由をまざまざと教えられた気がしたな。

    有川ファン、猫好きの女性に一刻も早く読むのをお薦めしたい本だよ。
    図書館の予約待ちもすごいだろうなと思って調べたら、ぼくの街の図書館では10冊在荷で217人待ちだ。
    11月15日の発刊日から約一ヶ月経ったからそんなものかな。まだまだ増えそうだけど。
    ちなみに駅前の本屋さんに、何故かサイン本が山積みしてあった。有川さん、こっちに来たのだろうか?
    1470円のサイン本、いっそのこと保存版として買っちゃおうかと、犬好きのぼくでも悩むぐらい、良い本だ。

  • よかったです。
    夜中1人で布団の中で読みました。誰も起きてなくてよかった。
    号泣です。途中から涙が止まりません。

    野良猫だったナナ。悟に拾われ野良猫を廃業して5年。
    とある事情で飼うことができなくなり、引き取り手を探しに、友人のところにナナと悟で旅をする。
    引き取り手を見つけたい思いもあるけど、お互い最後まで一緒にいたいって気持ちが大きくて、お見合いが失敗するたびに、ほっとしている悟の気持ちが胸にしみる。
    そうだよね、一緒にいたいよね・・・。
    ナナも最後、もう一度野良猫にもどって、悟の近くにいるところが健気で
    こんなに思いあっている2人を引き離さないであげて・・と思いました。

    中学生のころに両親を亡くした悟。
    悲しい思いをたくさんしているのに、前向きで本当にいい人。
    そんな優しい悟だから、悟の周りには心温かい人がいてくれる。
    悟がいなくなっても、ナナには悟とのたくさんの思い出が残っている。
    ナナの胸の中には悟がいつも居てる。

    私もだれかの胸の中にしっかりと思い出として残れる人生をこれから先おくっていかないと・・と涙して読み終えました。

    本当に素敵な本でした。

  • きっと泣くんだろうなーと思い読み始めて…やっぱり泣いた。

    瀕死のところをサトルに救われ飼い猫になったナナ。
    楽しかった日々に突然お別れ?
    サトルはナナの引き取り手を探す旅に出かけていく…

    有川浩さんの違った魅力を感じる文体だった。
    キャラへ感情をぐいぐい引き込む文体も好きだけど、本書のような大切なものを包み込みながら(ほら、こんなこともあったよね)と静かに伝え続けてくれた文体も好き。

    有川浩さんの小説にはいつもジーンとさせられる。
    表面的なものじゃなく、気持ちの根っこをこれでもかこれでもかと揺さぶられる言葉遣い。
    最後のナナのセリフや行動なんて、それに応えるサトルの気持ちなんて、思い出すたびにジーンとくる。

    「旅猫リポート」は有川浩さん好き、猫好きにはたまらない小説だと思います。
    読み終えた時、映画フィルムがカタカタカタ…と終わりを告げる音が聴こえてきました…fin.

  • ぐわぁ…
    好きって気持ちは無敵だ。
    こんなに強い気持ちってない。
    眩しくて眩くて、自分がなんてちっぽけなんだろうと思ってしまう。

    車に撥ねられて歩けなくなったところを悟に助けられたナナ。
    悟とナナはベストパートナーだったのに、よんどころない事情でナナを飼うことができなくなってしまった悟。
    信頼できる友人に猫を引き取ってくれないかと頼むのだけど…

    目の前の人が自分のことが好きか嫌いか、容赦ないくらいはっきりと感じてしまう時がある。
    この物語を読んでいる時にその感覚を思い出した。
    相思相愛の相手と過ごす時間は何よりも幸福で安らげる時間だ。
    悟とナナの間に流れている時間がそれ。
    でも相手に好かれていないとひしひしと伝わってくる時間は針のむしろだし、相手に遠慮されてしまうのもつらい。
    ほんの少しちくりとする小さい棘のような傷が自分と相手の間を決定的に隔ててしまう時もある。
    そうなってしまう原因は遠慮だったり、おそれだったり、自分の気持ちを相手に伝えることに躊躇してしまうこと。
    1歩近づこうとする勇気が出ないこと。
    仕方なかったと諦めてしまうこと。
    今思い返しても頭を抱えてしまう思い出がいっぱい…。

    でもこの物語の中で悟とナナはその苦さを蹴散らしてくれた。
    友人達との間の小さな傷ごと吹き飛ばしてくれた。
    ただ好きだというだけの、その強さを見せてくれた。

    あぁ…
    なんてなんて、強いんだろう。
    もう降参です。
    私も信じたい。私の気持ちにも同じ強さがあるって。

  • 有川さん、好きだ!大好きだ!と声に出したくなる1冊。

    実は私、動物を飼ったことがない。時折ふと、犬か猫かがほしいなと思うことはあったけれど、結局実現には至っていない。飼ったことがある人にとっては、ひょいと飛び越えられるハードルも経験がないと、案外高い。
    それでも今回は、動物と一緒に暮らしている人たちがかなりうらやましかった。


    サトルと野良猫のナナがマンションの駐車場で出会い、ナナのけがをきっかけに一緒に暮らし始める。
    5年の月日が流れ、ある事情によりサトルはナナを手放すことに・・・。ナナを預けるために親しく付き合ってきた友人を目指して旅に出る。

    行った先で小学校、中学校、高校大学の友人たちがサトルと自分の思い出をなぞることで、読者もサトルが今まで経験してきたことを知る。

    友人たちは思い出の中の出来事によって、がんじがらめになっていたり、感情がもつれてしまっていたり自由になれない自分に改めて気づく。思い出して丁寧に並べて整理しなおすことによって、少しずつ解放されていく。

    ナナや旅行先で出会う猫、犬とのやり取りも楽しく切ない。
    人間と同じような感情を持ち、人間たちよりも少しばかり賢く冷静だ。有川さんには彼らの言葉をキャッチできるアンテナを持っているのでは・・とさえ思う。小さな子どもと同じで、充分な言葉を持っていないからこそ感情に敏感になり別の手段で伝えることができるのかも・・。彼らが互いを理解する言語的なものを持っていても不思議じゃないなと思ってしまう。


    甘くて、切なくて、あたたかい有川さんらしい1冊。
    なかなかゼロにできない負の感情に苦しむ人を「大丈夫だよ」とそっと受けてとめてくれるサトルがいて、救われた気持ちになったのは、本の中の登場人物たちだけではないはず。
    なぜか銅像の王子様とつばめの話を思い出していた。

    そうそう、
    「いつか夏に繋がるはずって扉を開け続けた猫」(P230)
    にも久しぶりに会えて、ふふっと笑っちゃった。

    趣味のいいユーモアと漂う哀しさで笑って泣いて、最後に再び笑顔になれるお話でした。

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発売前からブクログ登録数400越えの期待の1冊!

子供の頃から引越しを繰り返してきたサトルの相棒は猫のナナ。しかしナナを手放さなければならなくなってしまったサトルは、ナナの引き取り手を探すため懐かしい人々を訪ねる旅にでます。それはサトルの生きてきた道を行く先々で再確認する旅でもあったのです。旅猫リポートは波乱万丈な過去の秘密を抱えたサトルと相棒のナナの最後の旅の物語です。

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