旅猫リポート

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著者 : 有川浩
  • 文藝春秋 (2012年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163817705

旅猫リポートの感想・レビュー・書評

  • 本をさっぱり読まない娘に、有川さんの『三匹のおっさんふたたび』と
    『空飛ぶ広報室』にリボンをかけてプレゼントされたのは、クリスマスのこと。
    思わず涙ぐんでしまうくらいうれしかったのだけれど
    どうしてこの2冊? と、心の中に盛大な疑問符を描いていたのです。

    ところが数日後、暮れも押し迫ったシネコンのロビーで、この『旅猫リポート』を
    「クリスマスに間に合わなかったけど、これもプレゼントに追加ね!」と渡されて。

    聞けば、どうしても3冊セットでプレゼントしたかったのに、行動範囲にある本屋さんを
    ことごとく回っても、『旅猫リポート』だけ軒並み売り切れだったのだそうです。
    その日、映画を見るために車で出かける、シネコンの入っているショッピングモールに
    大きな書店があるのを思い出し、こっそり電話をかけて訊ねたら
    奇跡的に1冊だけ置いてあるとのことで、今日必ずお金を持っていくので、と
    頼み込んで予約扱いにしてもらい、やっと手に入れたとのこと。

    「この3冊が揃えば、ママの大好きな有川さんのキャンペーンに応募できて
    劇のチケットか、特別カバー版が当たるかもだから、忘れないで応募してね」
    と言われ、よりによってシネコンのロビーで、映画を観る前から
    映画にはまったく関係のないことでぽろぽろ泣いている、
    挙動不審なおばさんと化してしまったのでした。

    そんなこんなで、手にした瞬間から泣かされたこの本に
    読んでいる間も、読み終わってからも、さらに泣かされるとは。。。

    猫のナナがこれからも幸せに暮らせるよう、手放すための旅に出る心やさしいサトル。
    とことん一緒にいることが、自分にとってもサトルにとっても幸せなのだと知っていて
    そのことにサトルが気づくまで、辛抱強くお見合いの不成立を画策しながら
    サトルの旅につきあう、賢いナナ。

    車に轢かれ、とりあえず生き延びるためだけに声の限りに鳴いてサトルに救われ
    ナナという雄猫としては微妙な名前をもらい、サトルのために野良猫を廃業したのに
    一日にたった一度でもサトルに会うため、極寒の札幌で
    温かく不自由のない飼い猫の暮らしを捨て、
    吹雪の中をさまよう野良猫に戻るナナに、もう涙が止まりません。
    「ナナに会いたい」という、サトルの最後の願いをちゃんと察知して
    サトルに命を救われた日以来初めてあげる咆哮の切ないこと!

    でも、サトルとナナの出会いが、遠く離れた会うはずのない人たちを温かく繋げ
    人付き合いが極端に苦手な叔母さんに、
    人の輪に加わるきっかけと「自分の猫」を育てる喜びを与え
    そして何よりも、サトル自身、ナナ自身に、きらめくような喜びに満ちた
    5年間を与えてくれたことを、けっして忘れたくありません。

    こんな本に出会えるからこそ、まだまだがんばって生きて
    読めるだけ本を読むぞー!と思っているけれど
    「その時」がきたら、ママのお棺にはぜったいこの本を入れてね、と
    娘には頼んでおきました。

    そうすると、万が一、娘が本を読むようになった時、
    この本の感動が味わえなくなる惧れがあるので
    娘の分の『旅猫リポート』は、今度は私が買って、プレゼントするのです♪

  • はい、泣けました。とってもいいお話でした。
    ネタバレにもなりそうだし、みなさんが沢山素敵なレビューを書いているので今回は割愛。

    本当の猫好きとはなんぞやと考える。
    私の考える猫好きとは決してペットショップで愛猫に出会ったりしない。
    迷い込んで来たり、拾ったり、知り合いがもてあましているのを貰ったり。
    それはある種の偶然、運命みたいなもので猫は向こうからふらりと飼い主の元へやってくる。
    神様の贈り物のように。
    逆を言えば猫を飼いたいと思っていてもなかなか見つかるものでもない。

    猫好きは猫の種類を自慢したりしない。
    チンチラ?アメショー?スコティッシュ?それが何か?
    うちの猫、とっても綺麗な八割れなんだよ。
    うちの猫なんか両足ソックスだぜ。
    うちの猫の尻尾見て、変な形でしょ~。
    え、うちなんて三毛のオスだよ!!(←最強)
    愛猫家の猫自慢てこんな感じだろうか。

    この本に出てくる人々は私の考える猫好きさん達ばかりだ。
    私からまことに僭越ながら猫好き認定証を差し上げたい。

    さて、私が昔一緒に働いていたある女性の話。
    その彼女がある時猫を車でひいてしまったことがあった。
    命は助かったその猫を助けようと、とうに病院が閉まっている夜間、必死に病院を探した。
    やっと一軒の病院にたどりつき助けを求めると、獣医は怪我が治った後もこの猫に責任を持てるなら手術します、出来ないなら治療はお断りしますと。
    彼女は手術をお願いし、猫は助かった。
    退院後、彼女は事故現場近くに沢山の張り紙をして飼い主を探したが結局見つからなかった。
    足が不自由になったその猫は彼女の猫になった。

    この本を読んでふいに彼女の事を思い出した。
    きっと彼女とその猫は運命だったんだろうと。
    サトシとナナがそうだったように。
    私の運命の猫はどこにいるんだろう。
    おまえか?それともおまえか?と我が家の猫達をぐりぐりしてみてみる。
    手ごたえないな~(笑)

  • 泣くのは分かってたんです。
    でも読むのを止められなかった。

    自分もワケあって
    5年間一緒に住んでいた黒猫(ヤミクロと言います)と
    今離れて暮らしています。

    そして5歳で死に別れた親父や
    自分を捨てたお袋と最後に行った家族旅行の地が
    物語終盤の舞台となる北海道だったことなど、
    あまりに自分の状況や生い立ちとシンクロして
    どうにも涙が止まらなかった。


    5年間一緒に暮らしてきた
    サトルとナナという野良猫。
    しかしある理由から
    サトルはナナを手放さなきゃならなくなり、
    引き取り手を探すために
    銀色のワゴンに乗り
    昔の旧友の元へと旅立つことになります。

    ナナは新しい引き取り手と出会う旅の中で
    海の碧さや怖さを知り、
    富士山に圧倒され、
    馬や鹿に驚き、

    サトルが見たナナカマドの実の赤や
    完璧に弧を描いた二重の虹を
    一生覚えておこうと心に誓うのです。


    狩りをできない茶トラの子猫に
    生きる術を教えるナナのシーン、

    ナナと甲斐犬のトラマルの
    主人を想うがゆえの
    一歩も引けない喧嘩のシーン、

    まるで「俺たちに明日はない」の
    ボニーとクライドの名場面を思わす
    詩情溢れるススキの海の中
    ナナとサトルが
    お互いの絆を確かめ合うシーン。

    物語の中の印象深いシーンの数々は
    そのまま自分とヤミクロの思い出と重なり
    どうしようもなく
    胸を焦がしていく。


    最後までサトルの猫で居続けるために
    暖かい場所を捨て、
    野良になることも辞さない
    ナナの誇り高き魂。


    犬も猫も動物はみな
    見返りを求めたりしない。

    ただただ一所懸命に
    愛するだけ。

    動物に触れて
    初めてそれが柔らかいことを知って、

    世界は自分が思っている以上に
    柔らかくて脆いことを知ったし、

    震えてるあったかい小さな体は
    日だまりの匂いがして、
    愛しいという気持ちを初めて覚えた。

    言葉を話すことのできない彼らに
    人間が教わることは
    たくさんあります。


    しかし有川さん
    箱型のテレビは猫の乗り心をそそるとか、
    猫はいくら飼い主であろうと
    己の信ずるところに従うなど
    猫のことをホンマよう分かってるなぁ(笑)


    ああ〜
    無性にヤミクロに
    会いたくなりました(>_<)

  • 野良猫を謳歌していたのが、車にはねられ怪我したことをきっかけに、
    サトルの飼い猫になったナナ。
    5年間、家族として生活していたのに、どうしても飼うことができなくなり、
    銀色のワゴンに乗って、ナナの新しい飼い主を見つける旅に出る。
    小学時代、中学時代、高校時代の友だちのところへ。
    それはサトルの人生を辿る旅でもあり、ナナとの思い出を作る旅でもあった。

    久しぶりに、すっごく泣いてしまう本を読んだ。
    最近涙もろくて、ちょっと泣くくらいはよくあるんだけど、この本は…。
    夜中に読み出しただのがいけなかったのか、中盤から鼻水が。
    図書館の本、一部よれよれだったのは、誰かの鼻水か涙だったのではと思う。
    わかるよわかるよと、そのよれよれが愛おしい。
    ほろほろ。

    ナナを飼い猫というより、家族として大切にしているサトルだからこそ、
    ナナみたいな猫とも出会えて、ナナからも一緒にいたいと思ってもらえて。
    犬好きだけど、これは猫じゃないとダメな話だった。
    暖かい場所が好きで、狭い場所が好きで、ツンデレな。
    猫ってこんなに可愛いもんですか。
    身近に猫飼ってる人がいなくて知らなかった。
    今猫が近くにいたら、嫌がられても、ぎゅーっとしちゃうのになぁ。

  • とても良かった!
    有川さんの作品は、有川さんらしいなあとか、こういうところ上手いんだよなと思いながら読むことが多いんですけど、この作品は作者が誰か途中で忘れていました。

    別れを経験したすべての人に。
    別れを心配しているすべての人に。
    心温まる物語です。

    ある事情で猫が飼えなくなり、宮脇悟は猫のナナを連れ、銀色のワゴンに乗って、旅に出ます。
    飼ってもいいという幼馴染の友人たちを訪ねて。
    ナナは牡猫で、しっぽが数字の7のように曲がっているのです。
    ナナの視点からの話が自然で、サトルとの出会い、5年間の暮らしが楽しげに、そして秘密を抱えたサトルの気持ちもお見通しだったり。
    何とも猫らしくて、賢くて、いきいきしています。

    サトルが小学生のとき、スイミングスクールの友達だったコースケ。
    一緒に拾った猫を飼うのを親に反対されて、大騒動になった経験がありました。

    中学のときの友達の吉峯。
    高校のときの友達のスギとチカコ。
    そして叔母のノリコのもとへの最後の旅。
    転校が多かったサトルには、各地に大事な友達がいました。
    どこかすっきりしない感情を抱えていた友達にも、再会でまた心動くものが。
    サトルはあまりにもいい子なんだけど‥

    叔母のノリコが口下手なのも、何だかそれらしい。
    北海道でのナナの思いがけない行動に、もう‥
    生い茂る草葉が波打つように、雪原にも日差しは降り注ぐように。
    愛溢れる結びつきは、ある限界をも超えていくのですね‥
    猫とのつながりを実感している人には、もちろんのこと。
    哀しみがとけていくように暖かく広がる感覚は、多くの人に読んでもらいたい。
    何かあったときにはもう一度、読みたいと思わせます。

  • 有川浩という作家は、女心をよく分かってる人なんだ。
    “女性が選ぶ、好きな女性作家第1位”に選ばれた人だけに、女性のハートを鷲掴みするなんてのは、けっこう簡単なことなのかな。
    世の中、あまねく男は犬派が多いと思うのだけれど、女性は圧倒的に猫派が多い。
    ぼくのまわりの女性も、猫を見ると「わあ、かわいい」と無闇にはしゃぎたがる。
    ぼくに言わせれば、猫のあの警戒心満々の鋭い眼差しは、なにを考えてるのか想像できなくて、怖いところがありありなのだけど、女性はそんなことお構いなしらしい。
    猫に比べると、犬ってやつは正直すぎるほどの眼差しを向けてご主人様になついてくる。
    それも、嬉しいときは尻尾をぶるんぶるん振ったりして、なんとも単純なのだ。
    「女心は複雑なのよ」とノタマウ女性たちがミステリアスな部分を秘めた猫に魅かれ、単細胞だらけの男どもは馬鹿がつくほど真正直な犬に魅力を感じるという図式なのかな。
    かと言って、ぼくが猫を嫌いかと訊かれればそういうわけでもない。
    あの、触った時のふさふさとした毛触りは、何物にも代えがたい気持ちよさがあるし、ミャーオという鳴き声もかなり男心をくすぐるところがあるのは否定しないよ。
    でも、やっぱり男のぼくとしては単純な犬の方が好きなんだ。

    さてさて、このお話は、女性から支持されるナンバーワン作家有川浩の面目躍如という作品だ。
    悲劇的な生い立ちの男の子サトルと彼に拾われた野良猫ナナとの物語。
    一人と一匹の間には熱い友情が芽生えるのだけど、理由あって手放すことを余儀なくされ、新しい飼い主を探してサトルとナナは日本中を旅することになる。
    その理由とは何かって? これがまたとっても悲しい理由なんだ。
    かわいらしい猫と悲しい運命を持った少年のストーリー。
    それを猫のナナの目線でもって、愛するご主人サトルとの旅についてリポートするんだ。
    出てくるサトルの友人たちもみんな本当にいい奴ばかり。
    コースケも、ヨシミネも、スギとチカコも、それぞれ違う年代で友達になった奴らなんだけど、誰もが優しい。
    サトルとだけ接点を持っていた彼らが、最後に集まってみんなが友達になるとこなんて身体が震えたよ。
    猫と少年と友情、こう来たら、もうお涙頂戴の鉄板作品でしょう、女性にとっては。
    男のぼくだって、ところどころで涙と鼻水が零れ落ちてきて困ってしまったのだから。
    女性が読んだら、もうティッシュペーパーなしには最後まで読みきれないんじゃないかな?

    内容についてはネタバレになっちゃうから詳しくは書かないけれど、猫好き女性にはたまらない感動作品であること間違いなし。太鼓判押してもいいぐらい。
    有川浩さんが女性に人気がある理由をまざまざと教えられた気がしたな。

    有川ファン、猫好きの女性に一刻も早く読むのをお薦めしたい本だよ。
    図書館の予約待ちもすごいだろうなと思って調べたら、ぼくの街の図書館では10冊在荷で217人待ちだ。
    11月15日の発刊日から約一ヶ月経ったからそんなものかな。まだまだ増えそうだけど。
    ちなみに駅前の本屋さんに、何故かサイン本が山積みしてあった。有川さん、こっちに来たのだろうか?
    1470円のサイン本、いっそのこと保存版として買っちゃおうかと、犬好きのぼくでも悩むぐらい、良い本だ。

  • よかったです。
    夜中1人で布団の中で読みました。誰も起きてなくてよかった。
    号泣です。途中から涙が止まりません。

    野良猫だったナナ。悟に拾われ野良猫を廃業して5年。
    とある事情で飼うことができなくなり、引き取り手を探しに、友人のところにナナと悟で旅をする。
    引き取り手を見つけたい思いもあるけど、お互い最後まで一緒にいたいって気持ちが大きくて、お見合いが失敗するたびに、ほっとしている悟の気持ちが胸にしみる。
    そうだよね、一緒にいたいよね・・・。
    ナナも最後、もう一度野良猫にもどって、悟の近くにいるところが健気で
    こんなに思いあっている2人を引き離さないであげて・・と思いました。

    中学生のころに両親を亡くした悟。
    悲しい思いをたくさんしているのに、前向きで本当にいい人。
    そんな優しい悟だから、悟の周りには心温かい人がいてくれる。
    悟がいなくなっても、ナナには悟とのたくさんの思い出が残っている。
    ナナの胸の中には悟がいつも居てる。

    私もだれかの胸の中にしっかりと思い出として残れる人生をこれから先おくっていかないと・・と涙して読み終えました。

    本当に素敵な本でした。

  • きっと泣くんだろうなーと思い読み始めて…やっぱり泣いた。

    瀕死のところをサトルに救われ飼い猫になったナナ。
    楽しかった日々に突然お別れ?
    サトルはナナの引き取り手を探す旅に出かけていく…

    有川浩さんの違った魅力を感じる文体だった。
    キャラへ感情をぐいぐい引き込む文体も好きだけど、本書のような大切なものを包み込みながら(ほら、こんなこともあったよね)と静かに伝え続けてくれた文体も好き。

    有川浩さんの小説にはいつもジーンとさせられる。
    表面的なものじゃなく、気持ちの根っこをこれでもかこれでもかと揺さぶられる言葉遣い。
    最後のナナのセリフや行動なんて、それに応えるサトルの気持ちなんて、思い出すたびにジーンとくる。

    「旅猫リポート」は有川浩さん好き、猫好きにはたまらない小説だと思います。
    読み終えた時、映画フィルムがカタカタカタ…と終わりを告げる音が聴こえてきました…fin.

  • ぐわぁ…
    好きって気持ちは無敵だ。
    こんなに強い気持ちってない。
    眩しくて眩くて、自分がなんてちっぽけなんだろうと思ってしまう。

    車に撥ねられて歩けなくなったところを悟に助けられたナナ。
    悟とナナはベストパートナーだったのに、よんどころない事情でナナを飼うことができなくなってしまった悟。
    信頼できる友人に猫を引き取ってくれないかと頼むのだけど…

    目の前の人が自分のことが好きか嫌いか、容赦ないくらいはっきりと感じてしまう時がある。
    この物語を読んでいる時にその感覚を思い出した。
    相思相愛の相手と過ごす時間は何よりも幸福で安らげる時間だ。
    悟とナナの間に流れている時間がそれ。
    でも相手に好かれていないとひしひしと伝わってくる時間は針のむしろだし、相手に遠慮されてしまうのもつらい。
    ほんの少しちくりとする小さい棘のような傷が自分と相手の間を決定的に隔ててしまう時もある。
    そうなってしまう原因は遠慮だったり、おそれだったり、自分の気持ちを相手に伝えることに躊躇してしまうこと。
    1歩近づこうとする勇気が出ないこと。
    仕方なかったと諦めてしまうこと。
    今思い返しても頭を抱えてしまう思い出がいっぱい…。

    でもこの物語の中で悟とナナはその苦さを蹴散らしてくれた。
    友人達との間の小さな傷ごと吹き飛ばしてくれた。
    ただ好きだというだけの、その強さを見せてくれた。

    あぁ…
    なんてなんて、強いんだろう。
    もう降参です。
    私も信じたい。私の気持ちにも同じ強さがあるって。

  • 有川さん、好きだ!大好きだ!と声に出したくなる1冊。

    実は私、動物を飼ったことがない。時折ふと、犬か猫かがほしいなと思うことはあったけれど、結局実現には至っていない。飼ったことがある人にとっては、ひょいと飛び越えられるハードルも経験がないと、案外高い。
    それでも今回は、動物と一緒に暮らしている人たちがかなりうらやましかった。


    サトルと野良猫のナナがマンションの駐車場で出会い、ナナのけがをきっかけに一緒に暮らし始める。
    5年の月日が流れ、ある事情によりサトルはナナを手放すことに・・・。ナナを預けるために親しく付き合ってきた友人を目指して旅に出る。

    行った先で小学校、中学校、高校大学の友人たちがサトルと自分の思い出をなぞることで、読者もサトルが今まで経験してきたことを知る。

    友人たちは思い出の中の出来事によって、がんじがらめになっていたり、感情がもつれてしまっていたり自由になれない自分に改めて気づく。思い出して丁寧に並べて整理しなおすことによって、少しずつ解放されていく。

    ナナや旅行先で出会う猫、犬とのやり取りも楽しく切ない。
    人間と同じような感情を持ち、人間たちよりも少しばかり賢く冷静だ。有川さんには彼らの言葉をキャッチできるアンテナを持っているのでは・・とさえ思う。小さな子どもと同じで、充分な言葉を持っていないからこそ感情に敏感になり別の手段で伝えることができるのかも・・。彼らが互いを理解する言語的なものを持っていても不思議じゃないなと思ってしまう。


    甘くて、切なくて、あたたかい有川さんらしい1冊。
    なかなかゼロにできない負の感情に苦しむ人を「大丈夫だよ」とそっと受けてとめてくれるサトルがいて、救われた気持ちになったのは、本の中の登場人物たちだけではないはず。
    なぜか銅像の王子様とつばめの話を思い出していた。

    そうそう、
    「いつか夏に繋がるはずって扉を開け続けた猫」(P230)
    にも久しぶりに会えて、ふふっと笑っちゃった。

    趣味のいいユーモアと漂う哀しさで笑って泣いて、最後に再び笑顔になれるお話でした。

  •  まさかこんな展開とは!まったく予想できなかった。
     泣けて泣けてどうしようもなかった。
     読み終えてからもう一度はじめを読み返して味わえる気持ちがまたいい。

     ナナがサトルといっしょに帰れるように、行く先々でそう仕向ける様子が可笑しくてかわいい。そしてナナの口調(?)がもう最高なのだ。

     お互いがどれだけお互いを想っているかが体中に入り込んでくる。
     サトルが入院したから野良に戻るなんて、そんな愛情たまらない。
     
     やさしいサトルのまわりは、やさしい人たちばかりだ。
     もちろんナナも含めて。
     

  • 悟とナナの関係性は猫好きにはたまらない話ですね。
    あんなにクールで聞き分けのいい猫ちゃんはいないですよ。
    いや、いるのかな。

    最後は悲しい別れになっちゃうけど、
    悟が入院してからのナナちゃんの行動は泣けちゃいます。

    それに悟は本当にいい人だね。
    友達とのエピソードもキュンとくるものばかりだし。
    凄く素敵なお話しでした。
    有川浩さんの本は実は初めて。
    これからいろいろ読んでみよう。

  •  今回はラブ要素があまり入っていないのかな、と思っていたら、サトルとナナのラブラブぷりったら・・・私、飼い猫とここまでラブラブになったことないです。あんなに何匹も猫を飼ったというのに・・・

     一人と一匹が旅をしながら出会う美しい景色と、かつて知り合った懐かしい人々。限りある人生の中で、大好きなものとともに過ごす日々。たどる思い出。素敵だった。
     海や富士山、花や雪、虹の景色、犬や猫たちとのやり取り。サトルが大切にしていた人々とのふれあい。どれもこれも綺麗だった。心に沁みた。

     大切な人が目の前からいなくなったとしても、私もナナのように、大切な人が残してくれた思い出とともに、まっすぐに強く生きていけたらなあと思った。そして、私もサトルのように、大切な人やものたちに心を尽くせる、そんな生き方をしていきたいと強く思った。

  • なんの予備知識もなく、ただ有川さんの本だから条件反射的に予約をして、読んだら「え・・・」まさかこのような内容だったとは。。。知らなかった分、効き目が。。。

    なんか182ページあたりから「ん?」と思うよなフレーズがちらほら出始めて
    そこからは、もう鼻の奥がツーンとして、違う話をふってくる
    子供たちに「頼むから今話しかけないで」と下を向きながら(泣いてるので…)お願いして、なんとか読破しました。

    印象に残った話は<スギとチカコ>ご主人思いの甲斐犬の虎丸とナナのやり取り。
    <最後の旅>のフェリー内での犬とチンチラの会話。一面のススキの海、お墓に供えられた虹の景色。
    <ノリコ>
    悟の叔母のノリコが、またおかしい人で・・・
    猫の喉のゴロゴロは口でゴロゴロ…という件で爆笑してしまいました。

    昔飼っていた猫のハッピーやチャッピーを思い出してしみじみしてしまいました。
    ナナもハチも悟と出会えて良かったね。動物ものって、どうしても涙腺ゆるくなってしまいますね♪

    児玉清さんの番組や、「夏への扉」、コロポックルの童話つながりで村上勉の表紙絵。それぞれさりげなく紹介されていて本が好きな人にうれしいサプライズが、ちりばめられているところも嬉しかったです♪日々の平凡な生活が、いかにしあわせなことか猫の目線を通して感じることができました。

    これでもう有川さんの小説は卒業。ちょっと一方的すぎて…ね。

  • まさかの猫が主人公。
    そして飼い主は、その猫を止むなく手放す事を決意し
    貰い手を探して一緒に旅をする…。
    それをレポートした、もの。

    視点は猫。
    そして、引き取り候補たち。
    のんびりとした、気遣い屋さん、な飼い主と彼らの会話に
    もしや、と思っていたら、大当たり。
    しかし読ませるのはそこまで! という状態で
    ぼろぼろ出てくる飼い主の背後。

    主人公が猫故に、猫だからこそ、これは犬では全く駄目な話だと思います。
    幸せだよと伝えるその姿が、ただ一緒にいるんだというその気持ちが
    嬉しくて、たまらなく愛しくて。
    だからこそ、スタッフの言葉が嬉しくてたまりませんでした。

    こんなふうに、出会えてよかったと思う事が、生涯一度でもあったら。
    それはとてもとても幸せで、すばらしい事、です。

  • 3匹飼っている愛猫の内、今年相次いで2匹が天国に旅立ってしまいなかなかこの本を読むことが出来ませんでした。
    やっと立ち直り一気に読み終えることが出来ました。
    12ページ目ですでに涙を流しながら読み、読み終えるまでに何度涙したことでしょう。
    子供の頃に飼っていた猫が目の前で車に轢かれて亡くなった時のことや、今年亡くなってしまった愛猫達のことが頭の中に蘇ってしまい、個人的な感情が大幅に左右する涙ではあったけれど、読んで良かったなと思いました。
    猫好きな方じゃなくてもじゅうぶん楽しめる作品だと思いますが、猫を飼ってる方が読んだら飼ってる人にしか分からないようなあるあるネタが結構あって更に楽しめると思います!

  • 何かと耳目していた、有川さんによる猫の物語。
    珍しく図書館で見つけたので、すぐに確保。

    主人公は野良猫と一人の男(猫好き)。

    その、気ままに生きてきた野良猫が、とあるきっかけから、
    男に拾われるところから物語が始まります。

    何気ない日々を送っていたのですが、ある日、、
    男は猫の里親を探しに、旅に出ることになります。

    男は人間たちと、猫は動物たちと、、
    それぞれ旅先での交流を交えながら、転々と。

    そんな、連作短編×ロードムービーの形式は、
    個人的にはたまらなく、そもそもどうして旅に出たのでしょうか。

    普通の会社員として働いていて、特に問題もなく、
    穏やかでなんということの無い日々がずっと続いていく、

    それぞれ伴侶が増えたり減ったりはすることはあるだろうけど、
    猫と男の関係は変わることなく続いていく、、

    そんな雰囲気に包まれた物語と思っていたのですが、、
    ラスト、北の大地で出会った“里親”は、さて?

    これは始まりと終わり、そして紡いでいく物語。
    “猫が好き”、ただそれだけの想いを。

    猫が好きな方であれば、たまらない。
    そんな物語だと思います。

  • 今朝起きたら、案の定、目元が腫れていわゆる泣きはらした顔というものになっていました。
    せめて前半でやめて、今日の昼間にゆっくり最後を読めばよかった。
    泣いてしまうんだろうとは思ったけど、序盤からラストまで、花粉症ピークの時みたいな量のティッシュを消費するほどぐじゅぐじゅに泣いてしまうとは思わなかったのよ。

    今思い出しても、ちょっと泣ける。
    いい話だった。本当に素敵だった。

    旅の終わりは、はじめのほうから見えていたけど
    ナナが、ナナがぁ~(涙)

    犬も好きだけど、断然猫派のわたしは、老後猫と暮らすことが夢です。
    今すぐにでも飼いたいけど、娘も飼いたいというけど
    置き去りにして出かけられないので、もう海外旅行とか行けないわって年になったら、余生猫とのんびり半引き籠り生活を営もうと常々旦那(猫派)と話しています。


    サトルがナナの新しい飼い主を捜している理由だけでなくて、いい奴である理由、友人たちとの関係、旅の途中で見た景色、ノリコの事情、どれもこれもあたたかくて素敵なのに震えるくらい泣ける。

    表紙の絵がまた良くて、コロボックル懐かしいー。
    ラブコメじゃない有川作品も大好きだー。

  • 予備知識無しで、楽しい旅を綴った話かと勝手に思っていたので、
    うっかり病院の待合で涙してしまった。

    命を助けられた野良猫と、その飼い主の心の旅のお話。

    ある事情があって猫のナナを手放すことになる飼い主の悟。
    事情については序盤に何となく想像がつき、そうでなければいいのにと願ってたのに、
    トラマルに突きつけられた事実。

    それでもやっぱり諦めきれずに進めてしまったので、
    最後はもう涙と鼻水が花粉症と合わさって、グズグズだった。

    少し皮肉屋だけれど実は優しいハチと、難しい境遇におかれながらも、
    いつまでも明るく思いやりのある悟。
    そんな一人と一匹を繋ぐ絆と愛情に胸が温かくなる。

    犬派の自分も猫を可愛がりたくなる、そんな一冊。

  • さあ、行こう。これは僕らの最後の旅だ。一人と一匹が見る美しい景色、出会う懐かしい人々。心にしみるロードノベル。
    「BOOK」データベース より

    うちは、口が増える&父の動物嫌いという理由により金魚くらいしか飼えなかったから、猫というか動物の気持ちは分からない.
    でも、猫と一緒に住んでいる人から、ことば分かってるんじゃないかと思う、といったようなことをよく聞くことがある.有川さんの旅猫リポートを読むと、本当にことばが分かってるんじゃないかと思うし、気持ちも伝わっているんじゃないかと思う.
    寄り添ってくれるものの存在が、最後まで一緒でよかった.離ればなれにならなくて本当によかった.最後は現象的には哀しい結末だけど、気持ち的には温かいものが残る、そんなステキな物語.

  • GETしました!そして読みました!有川さんの新刊!!

    有川さんの新刊なら無条件に買ってしまうので何の予備知識もなく読み始めたんですが・・・・。
    しまった・・・・。
    これ、多分ちょっとでも内容知ってて有川さんじゃなかったら、多分手に取ってません・・・。


    だって、猫視点だもん!!反則!!

    泣くの必至!!
    いわゆる「泣ける」話とか、「泣く」って謳い文句の本って好きじゃないんですよね・・・。

    正確にはそのアオリが嫌い・・。
    だって、大概泣くし、私。

    でも、この本は名作です。
    泣くとかそういう事ではなく、命って何だろう?
    死ぬって何だろう??
    そんな事まで考えさせてくれる本。


    さて、この話、どう書いても軽くはネタばれしそうなので先に言っておきます。


    この本は私の中では★5つ本。
    そして、この本を読むつもりの皆様にひとつアドバイスできることがあるとするなら・・・・



    電車や公共の場では読むな!!!









    ストーリーセラーよりがん泣きした。



    さて、がっつりはネタばれしない予定ですが、どう書いてもちょっとネタばれになってしまうと思うので、そこを了承済みの方はオススミくださいww




    *:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆









    この国には「我輩は猫である」と言った偉大で有名な先輩猫がいるらしい。



    僕がその先輩に唯一勝てるところがあるとするなら









    「名前がある」









    ということだろう。



    サトルがつけてくれた僕の名前、ナナ。



    ちょっと。ちょっと、僕の性別丸無視してませんか??



    いくら僕の尻尾が数字のナナの形をしてるからって安直すぎでしょ。









    でもね、鍵しっぽの猫はその鍵に色んな幸運を引き連れてくるんだぜ。



    だから、サトル、二人で色んな景色を見よう。









    これは僕とサトルの旅の記録。









    *:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆












    あぁ・・・・これが泣かずに読めようか。


    上でアドバイスを書いたくせに、我慢できなくて電車で読み、泣くなら最後だと思いきや、最後手前で泣くポイントが来て、電車の中でがち泣きしました←


    我慢できずに「ふぇっ・・」lって声まで出した・・・(^▽^;)


    大体展開は読めるんですよ、この話。

    でも、泣かされてしまいました・・・。





    この人、ほんとエンタメ書かせたら天下一品だと思う。




    確かに猫視点は反則だけど、それで泣けるわけじゃない。
    ナナの気持ちも丁寧に書いてあるし、その丁寧さと、ナナのサトルに対するつっけんどんな愛情がわかるからラストの展開がきいてくるし、サトルを取り巻く人たちの心理描写も丁寧です。



    劣等感や引け目や示すことができない愛情や・・・、そういうものがナナの視点から見たら不思議に映るのかもしれません。




    だって、気持ちってか・・・、大事なものってもっとシンプルでしょ?




    「あなたが大事だ」


    それだけでしょ?

    手垢のついた言葉かもしれないけど、

    「本当の死は誰もその人を覚えていなくなった時だ」

    改めてこの言葉を思い出しました。

    これはかなり直球ドストレートな話ですが、だからこそ皆に読んでもらいたい!

  • 「アリカワヒロ、好キナンデスカ?」
    平日の朝、病院の扉が開くのを外に並んで待っていた時の事。自分が声をかけられたと思わなくて、読み続けていると、再び同じ言葉が降り注ぎ。えっ?と顔を上げてみる。

    この病院では患者が外の塀に座って待つスタイルが暗黙の了解になっていて、私もそれに倣って座っていたときに、隣に座っていた、青年にそう声をかけられたのだ。
    まるで有川浩の小説の一節みたいじゃない?これからドラマが始まる予感?!

    初めての経験でドキドキしちゃったけど、なんとなくそうか有川浩が好きな人ならそんな風に「本を媒介」に話しかけるっていうのもアリだなあと思った。

    この本、読み始めたばかりなんですけど、読んだことありますか?と尋ねると、
    いや、まだそれは読んだことないですね~との返答。
    私、今のところイマイチな感じなんですけど、どうなのかな~と思ってと呟いちゃったのですよ。

    それを全て読み終えたいま、とても後悔している。

    あの病院で待ち伏せして、イマイチなんて言ったしまったことを取り消したい。
    あの青年に誤解を与えたままではいられない。
    と、激しく懺悔するほど、読んで良かった。読み終えて良かった。

  • 私は生粋の「犬派」。
    小さいころから犬に囲まれて生きてきた私には、犬の存在無くして人生を語ることができません。

    そんな確固たる「犬派」な私の心を、猫パンチで揺さぶってきた本がこの「旅猫リポート」。

    飼い主の悟と、猫のナナ(雄だけれど)との心の会話を綴った物語。
    実は、3章まで読んだところで、最終章を読みました。
    最後を知り、なるほどな・・・と思ったけれど。でも、読み続けました。
    ナナが悟を想う気持ち、悟がナナを想う気持ちが痛いくらいにでも「さらっと」書かれていて。
    たぶんそれが可能だったのは、悟もナナも男の子だったからかなぁと。

    犬派の私にも、ミーちゃんという猫だけはいつも私の傍にいて寝てくれたっけ・・・と、自分の思い出と重ねました。

    心がちょっと疲れたなと思った時に、広げて読んでみてください。

  • 何も言葉が出てきません。
    ただ、今、という幸せがありがたくて堪りません。

    誰もいないところで読んで下さい。

  • 「僕たちの銀色のワゴンはまるで魔法の車だ。」

    のっぴきならない事情で愛猫ナナと暮らせなくなったサトルはナナの貰い手を探す為、親友たちに会いに行く。サトルの人生を振り返る旅でもあり、二人の思い出を作る旅でもある気がした。
    聞けば聞くほどいい人でそんなサトルののっぴきならない事情って一つしかない気がしてページを捲るのが怖かった。
    ナナはいつからあんなこと決意してたの?ぬくぬくしたものより大事な物。
    「最後の旅」でサトルの本音を聞いてからずっと泣いていた。お互いを思う気持ちが凄い。
    「うひょっほう⁉︎」で少し元気が出た。

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旅猫リポートの作品紹介

発売前からブクログ登録数400越えの期待の1冊!

子供の頃から引越しを繰り返してきたサトルの相棒は猫のナナ。しかしナナを手放さなければならなくなってしまったサトルは、ナナの引き取り手を探すため懐かしい人々を訪ねる旅にでます。それはサトルの生きてきた道を行く先々で再確認する旅でもあったのです。旅猫リポートは波乱万丈な過去の秘密を抱えたサトルと相棒のナナの最後の旅の物語です。

旅猫リポートの単行本

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