生涯投資家

著者 :
  • 文藝春秋 (2017年6月21日発売)
4.12
  • (172)
  • (205)
  • (76)
  • (13)
  • (4)
本棚登録 : 1624
感想 : 199
5

メモ


上がり始めたら買え、下がり始めたら売れ。一番安いところで買ったり、一番高いところでうれるものだと思うな。

投資とは、将来的にリターンを生むであろうという期待をもとに、資金などをある対象にあてること。投資にはかならず何らかのリスクが伴う。しかし、投資案件の中には、リスクとリターンの関係が見合っていないものがあり、それを探しリターン>リスクとなる投資をするのが投資家。

村上世彰の投資は徹底したバリュー投資。保有している資産に比して時価総額が低い企業に投資するという極めてシンプルな投資。こうした会社は、経営に問題を抱えていることが多く、株主の立場から働きかけて改善を試みると、ハゲタカと批判されてしまう。

上場することでIRなど、必要な部署やコストがかかるため、株式発行による直接金融で資金を調達する必要がない企業は、上場を廃止して非上場になることを検討すべき。
現預金をたくさん保有したり、財務状況がよく銀行からの借入余力のあるような投資先に対して、MBOして非上場化しようという提案を行うと、上場による信用力が無くなる、取引先との関係が維持できないなどの理由で断られることが多い。

本来は投資家である株主が経営者を選ぶもの。企業が自らの事業計画を株主に説明し、株主はそれを吟味した上で経営者を選ぶのが資本主義の原則。会社法もこれを前提に定められている。
声をあげなかった株主にも責任はあるが、日本における株主は物を言わない、顔が見えない存在であり、銀行の顔色は伺うが、株主を重視する姿勢はない。

投資家と経営者では、必要な能力や資質が全く違う。投資家は、リスクとリターンに応じて資金を出し、会社が機能しているかを外部から監視する。経営者は投資家に対して事業計画を説明し、社内の人材や取引先などをマネジメントして最大限のリターンを出す。

ROE(Return on Rquity)は、投資した金額に対して利益がどの程度生まれるかを示す。すなわち、当期純利益/純資産という式で算出できる。投資家にとっては、自らの投資したお金がどれだけ効率的に利益を生んでいるかを知る指標。
企業がROEを高めるためには、当期純利益を高めるか、純資産を減らすかしかない。投資家はROEの改善を求めるが、経営者は安定経営のために手元に資金を確保したい考えが強い。それが純資産の過剰な増大につながるため、日本は米国に比べROEが著しく低い。

余剰資金を貯めこむのではなく、より高い利益を求めて積極的に投資に回すか、投資の機会がなければ投資家に還元すべき。投資家は経営陣に対して、銀行預金で僅かな金利収入を得ることを求めていない。投資家はその資金を、成長のために資金を必要とする別の企業に投資する。そうしてお金が循環し、経済がまわっていく。

ROEのグローバル水準は8%。

















読書状況:いま読んでる 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年8月18日
本棚登録日 : 2017年6月22日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする