著者の作品は初読みでしたが、ブクログ内でのフォロー&フォロワーさんの評価が高くずっと気になりながらも積読となっていた一冊です。
切なくて、苦しくて、なにより重たい作品でしたが、迷わず☆5つ。
本作の主人公は14歳の息子が同級生を殺害した容疑で逮捕された息子(翼)を持つ父親・吉永。
決して許されることのない罪を犯し、14歳という若さで加害者として十字架を背負うこととなった息子を持つ父親の姿、殺人を犯してしまった少年がいかにして自分と向き合い、家族や友人と向き合い、そして罪と向き合う姿。
子を持つ親として、本書は超弩級の衝撃作。
加害者の視点で書かれる作品は何冊か思い出しますが、加害者(少年)の親の視点ってどうしても自分ならどうする?と比べてしまいます。
単身赴任とコロナ禍を言い訳に、私自身も吉永のように最愛の我が子と自然と距離があいてしまいました。
誰よりも側にいたい最愛の娘。
親と子、それは単なる血の繋がりだけではなく、もっと根幹の部分で繋がっている。
しかし、それに甘んずること無く、側にいて、触れてやることも親の務めだと改めて思わされました。
読みながら「北斗 ある殺人者の回心(石田衣良)」、「とんび(重松清)」を思い出しました。
未読の方は是非‼︎
説明
内容紹介
同級生の殺人容疑で逮捕された14歳の息子。だが弁護士に何も話さない。真相は。親子は少年審判の日を迎える。吉川文学新人賞受賞作
第37回吉川文学新人賞受賞作
*選考委員のコメントより
伊集院静氏
思わず唸った。
薬丸岳という小説家の力量と才能に頭が下がった。
大沢在昌氏
より道のないまっすぐな物語は、最後まで密度を失わず、
重く暗い話でありながら、目をそらすことを許さない。
名状しがたい感動を私は味わった。
京極夏彦氏
提起された問題は読み手のい許に届き、
読者それぞれが「つけられない結末」を共有できる。
恩田陸氏
もし自分が主人公の立場に立ったら、と
胸が痛くなるような心地でハラハラしながら読んだ。
内容(「BOOK」データベースより)
あの晩、あの電話に出ていたら。同級生の殺人容疑で十四歳の息子・翼が逮捕された。親や弁護士の問いに口を閉ざす翼は事件の直前、父親に電話をかけていた。真相は語られないまま、親子は少年審判の日を迎えるが。少年犯罪に向き合ってきた著者の一つの到達点にして真摯な眼差しが胸を打つ吉川文学新人賞受賞作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
薬丸/岳
1969年兵庫県明石市生まれ。駒澤大学高等学校卒業。2005年、『天使のナイフ』(講談社文庫)で第51回江戸川乱歩賞を受賞。連続ドラマ化された刑事・夏目信人シリーズがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
- 感想投稿日 : 2021年10月26日
- 読了日 : 2021年10月26日
- 本棚登録日 : 2021年6月29日
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