子供の頃対人関係がどうにも上手くいかなくて、大人になっても何も変わっていないような自己嫌悪に陥る。分かる、とてもとてもよく分かります。なんで自分は友達が出来ないのか、出来ても上手く立ち回れなくて何故か孤立してしまう。こだわりなく話しかけたり出来ればいいのに、声が掛かるまで待ってうじうじしてしまう。
大人になって、少しは器用に生きられるようになったけれど、根本は何も変わっていない自分を感じている。
そんな2人の女性が、社長と従業員という立場で出会い分かり合い、そして少しづつすれ違っていく。
学生時代の意味不明な人間関係の軋轢。大人になれば解放されると思っていたけれど、自分で選ぶことが出来ない人間関係からのプレッシャーに苛まれる日々。
どうしようもないと思っていたのに、働き始めたことによって、周りを見、自分の生活を省みる事によって次第に自分を解放していく小夜子。
女社長として奮闘しながらも、新事業も思うように進まず従業員からの不満で突き上げられる葵。
高校時代の葵と、現在の小夜子を交互に描き、そのたびに頭がカチカチとスイッチ切り替わるのですが、その切り替わりが妙に心地よいです。
青臭く、刹那に生きていた少女も、結局は時間を経て生活者となった姿をさらして生きるしかない。そんな当たり前な事が妙に染みる本でした、
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年6月27日
- 読了日 : 2019年6月27日
- 本棚登録日 : 2019年6月27日
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