『あの日』から起こった出来事を女性気鋭の漫画家たちが自ら現地に赴き、取材を重ねて描かれたオムニバス漫画です。さまざまなエピソードがありますが一番印象的だったのは料理人兄弟の避難場所での話でした。
2011年3月11日。東日本大震災で被災した現地の様子を気鋭の女性漫画家たちが自ら現地に足を運び、ここで拾い集めたエピソードを漫画化するというオムニバス作品です。
「漫画に描き残すことで“語り部”的な役割を果たせないだろうか? 」
その一心で描かれた話は、本当に胸に迫ってくるものがございます。鮮魚店で働く若者は被災し、「生かされた」命を故郷をPRする仕事につくという形であらわし、ある被災した家族は買出しに行き、やっとの思いでたどりついたスーパーで見知らぬおじさんからジュースをもらい、それを避難場所で待つ自分の娘の下へと届ける。
福島県に在住する小学校の女性教師は生徒とともに現地に暮らし、取材の後日談では結婚もされたということで読みながら胸をなでおろしたことを書きながら思い出しました。南三陸町で被災した料理人の兄弟は瓦礫の中から何とかして食べるものを探し出し、マヨネーズや醤油を見つけ出したり、また、めかぶや鯖缶を使い、乏しい機材を何とかして動かし、『料理人』のプライドをかけて料理を作り避難場所にいる人々に振舞う姿はとても印象に残っております。
本書の単行本と電子本の印税全額と出版社利益の一部は被災地に寄付されるということですので。そういった取り組みは本当に尊いものであると思います。
- 感想投稿日 : 2013年10月17日
- 読了日 : 2013年10月17日
- 本棚登録日 : 2013年10月17日
みんなの感想をみる