逮捕されたらこうなります!

著者 :
  • 自由国民社 (2013年6月27日発売)
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感想 : 12
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「前もって知っていれば、こんな目に遭わなかったのに…」現代の日本において逮捕・拘留という経験は特別なものではなく、誰もが陥る陥穽であるという事を改めて思い知る事ができました。体を張って書かれています。

僕がこういうことに興味を持ったのは、芥川賞作家、西村賢太氏の私小説、『春は青いバスに乗って』を読んだことがきっかけでした。西村氏によると、彼は暴行事件前科2犯と言う経歴があり、そのうち最初の事件を私小説化したものでございました。その内容は自身の留置所生活から警察や検察官の取調べを受けて罰金刑が確定するまでを詳細に描きこんでいて、さすが西村賢太!と僕をうならせてくれました。

本書はWebライターという肩書きを持つ筆者が2012年に事件に巻き込まれ、逮捕、拘留生活を送るが、不起訴処分になったときのとで、自身が経験したことをこうして一冊の本に纏め上げたものです。これを読んで、筆者が経験したことと、西村氏が経験したことにはほぼ大差はないものの、行動様式の呼び方が若干変わっていたり、法の関係でできることとできないことがあったりと、そこはやはり時代の変化なのかなと思いながら見ておりました。

PCの遠隔操作事件で逮捕された方がいるように、逮捕、拘留されることは決して対岸の火事ではなく、この陥穽は自分のすぐ隣にあるのだということを目の前に突きつけられたような気がしてなりませんでした。ここでは留置所ではどんな生活を送るのかに始まって、取調べを担当する警察官との対峙の仕方や、弁護士の呼び方とその使い方などが詳細に記述されてあって、できることならここで習い覚えたことを実際に使うことがないことを祈りつつ、もしも使わなければならないことがあったときは少しでも自衛に役立つことができればと、そしてこの文章を読んでいる皆様にも、もしかしたらそんなことがあったときには(できればあってほしくはない)お役に立てていただけたらと、そんなことを考えながらオススメいたします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年10月24日
読了日 : 2013年10月24日
本棚登録日 : 2013年10月24日

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