この本はなぜ我々は「円高・円安」に一喜一憂しなくてはならないのか、そもそも「通貨」とは何なのか…。というテーマを綴ったものです。
僕もかつては円高円安に翻弄された一人ですがそれでもなるほどと思いました。 通貨についてはさまざまな議論や意見があって、1ドル200円がいいですとか。彼女のように1ドル50円の時代が来るですとか。本当にいろいろな意見があって、どれが本当に正しいのかは僕もわかりません。もっとも、そんなことがわかっていれば僕は今頃億万長者の仲間入りでしょうね。
本書は「通貨」をめぐる歴史や、基軸通貨としてのドルがもはやその役目を終わっているということ。ドル全の基軸通貨であったポンドや「女王陛下の銀行」といわれたイングランド銀行の興亡。そして通貨の未来と、円の行方についてさまざまな角度から語られていて、かつて、自分が金融関係の本を読み漁っていたことを思い出して楽しく読んでいました。
自分が読んでいて一番面白かった箇所はやはり、ロンドンはシティの成り立ちと、商業銀行と国の銀行との「二つの顔」を持つイングランド銀行の歴史でした。大英帝国の歴史を通貨から見るというのもなかなか面白いものです。今この記事を書いているとき円は1ドル70円台の後半でした。ユーロも一時期は1ユーロあたり160円くらいだったことを思い出します。
それがあれよあれよという間に1ユーロ100円くらいまで下がったというのはいかにEUの経済圏が危うい基盤の上に成り立っているんだな、という解釈を僕はしています。話はそれましたが、通貨の行方は今後も見守っていくべきテーマのひとつとして、この本はその参考になっていくと考えています。
- 感想投稿日 : 2012年2月3日
- 読了日 : 2012年2月3日
- 本棚登録日 : 2012年2月3日
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