いつか、すべての子供たちに――「ティーチ・フォー・アメリカ」とそこで私が学んだこと

  • 英治出版 (2009年4月7日発売)
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本書は日本でもその活動が注目を浴び始めたNPO法人「ティーチ・フォー・アメリカ(TFA)」の創業物語です。当時21歳の女子大生だった筆者のアイディアから始まった教育改革ムーブメントは波乱万丈でした。

本書を読んだきっかけはWSJでここの日本法人が特集されていたということと、現在はどうか走りませんが、故スティーブ・ジョブズの妻であるローリーン・パウエルと彼の公認伝記を書いた作家のウォルター・アイザックソンが理事を務めているということを知ったからであります。

本書は『大学卒業後の若者たちが2年間、全国各地の学校で「教師」になったら、世の中はどう変わるだろう?』というアイディアを思いついた当時21歳の筆者が立ち上げた「ティーチ・フォー・アメリカ」の奮闘物語であります。

彼女のアイディアが国じゅうの大学生を巻き込んで、たちまち全国に広がり、形になるまでが描かれておりますが。ここに書かれていることのほとんどは資金をいかに調達するか?ということでありました。

世間では「ミー・ジェネレーション(自分のことしか考えない世代)」と言われていた若者たちが、同じ夢を抱いて立ち上がったという高邁な理想だけではなんともしがたい現実があり、彼女はそれを帰るために全米を駆けずり回り、あらゆる人にあっては資金を提供してくれませんかと頭を下げ続けるのです。中には『ウォール街』。さらに続編である『ウォール・ストリート』のゴードン・ゲッコー氏のモデルといわれるマイケル・ミルケン氏との話もあり彼とのやり取りは面白かったです。

彼女はなぜそこまでがんばれたのか?それは「いつか、すべての子供たちに、優れた教育を受ける機会が与えられること」。その信念が彼女を、そして彼女の理念に共感し、集った学生たちの思いだったのでしょう。やがて、彼女たちの活動は貧しい地域の学校に奇跡的とも、またドラマチックともいえるような成果をもたらし、さらに大勢の子供たちの人生を変え、今や米国大学生の「理想の就職先」では常にトップ10の常連に選ばれるまでになったのです。決して平坦な軌跡ではありませんが、創業者だからこそここまで描くことができたのではなかろうかと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2013年4月2日
読了日 : 2013年4月2日
本棚登録日 : 2013年4月2日

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