戦時中の市井の人々が日常生活をどう過ごしていたかを、明るい主人公すずの視点を通して描いた漫画。
昭和19年から終戦に向けて、月ごとに時間が経過していくのがはっきり分かる構成となっている。戦況の悪化に伴い、配給が厳しくなり、そして人々に命の危険が生じていく。それにも関わらず、自分を抑圧せず日々を過ごしている、すずの表情が印象的であった。
ところで、この漫画を読んで気になったのは、「世界」という2文字の言葉であった。「第2次世界大戦」と言われるように、国家と国家の集合も「世界」であれば、毎日の家庭生活も、そこでひたむきに生きる人々にとって「世界」になる。
漫画が直接描いていたのは、後者の世界ではあるが、玉音放送後のシーンで「自分はまだ戦えるのに。」と叫ぶすずの表情から、この2つの世界は別ではなく、交わっているという必然を改めて感じることができた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2017年3月5日
- 読了日 : 2017年2月26日
- 本棚登録日 : 2017年3月5日
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