人生生涯小僧のこころ

著者 :
  • 致知出版社 (2008年3月10日発売)
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本棚登録 : 666
感想 : 80
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自分の感想に時折いいねを押してくれる方の本棚を覗きにいったら、お気に入りベスト3の一番にあったので読んでみた。こういうふとした縁でこの本に出会えたことに感謝します。
往復48kmの山道を1日1回、それを1000日歩く「千日回峰行」、九日間飲まず食わず眠らず横にならずを続ける「四無行」という、内容を聞いただけでうへぇ……という声が漏れてしまいそうな修行を成し遂げた人の本。
過酷な修行の末にようやく気付いたことや悟ったことが惜しみなく、それも決して押しつけではなく綴られているので、大した努力もしていない自分がいいんですかこんな貴重なお言葉に触れて……みたいな気分になってくる。特に千日回峰行の中盤でどうしようもなく体調を崩してしまった時の話なんかは、「行者として人に心配を与えたくない」という気持ちがありながらもこうして本に綴ってくれたんだなと思うと、いつも以上に言葉を噛みしめて読まないわけにはいかなかった。
本書に何度も出てくる「行」という言葉を自分の中にある成し遂げたいことに置き換えて読むと、どれもこれも深く頷いてしまうものばかり。「何のために」の大切さに触れている箇所を読んだ時は、初心を思い出して涙してしまった。
今年の頭、同じ業界にいる先輩が言っていた「作品創りに関わるからには、それを受け止めてくれる人達だけでなく、生み出す側の人達にも『この作品に出会えて良かった』と感じてもらえるものにしたい、と思っていつも取り組むようにしてます」って言葉を聞かせてもらったことを思い出した。ものづくりは人と人が繋がらなければ成り立たない。だからこそ「何のために」をいつも忘れないようにしないと。
あと、読み終わったあとでこの住職さんのお寺はどこにあるんだろうって調べてみたんですけど……なんか聞いたことある地名だなと思って地図見てみたら、去年の秋に友達と仙台旅行に行ったときに秋保大滝を見に行ってまして……お寺の目の前を車で通ってましたやん自分。なんという運命……。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2019年9月28日
読了日 : 2019年9月28日
本棚登録日 : 2019年9月28日

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