限界集落の真実: 過疎の村は消えるか? (ちくま新書 941)

著者 :
  • 筑摩書房 (2012年1月10日発売)
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ざっくり要約

限界集落になった集落で高齢化が原因で消滅したような集落はほとんどない。リスクを煽り過ぎである。
限界集落問題は、世代間住み分け問題である。昭和初期生まれの世代が集落に残り、それより下の世代が都市に出たために世代間で住み分けが起こり、上の世代から下の世代に地域を継承できないことが問題である。
効率性の観点から、限界集落は消滅すれば良い、との発言が見られるが、まず、限界集落が非効率になったのは、グローバル化が進み、モノ(資源・エネルギー・食料等)の移動が用意になったここ数十年の話であり、長期的に見れば自立型生活が成り立つ集落の方が効率性が高くなる時代がまた来る可能性もある。次に、集落を消滅させるかどうかの意思決定は、基本的にはその土地に住む人とその家族が決める話である。よって、国などがトップダウンで経済的合理性の観点からどこまでなら集落を存続できるかを決めるのではなく、地域のボトムアップでその土地に関わる人々がどのように行きたいのかを起点に決めていくべき問題であるのではないか。
集落に関わる人々の生活を起点に限界集落の存続を考えるならば、集落外に住む子供世代の中に集落に戻ってくる気がある人が意外と多いことや、集落近くに住み、集落に関わって生活していくつもりの人々がいることに目を向け、彼らも巻き込んだ上で、どのような生活を営んでいきたいかという視点で存続・継承を考えていくのが重要である。

わかったこと・疑問

集落外の人々も含めて、その土地に関わる人々がどのように生きていきたいのかをベースに集落の存続を考えるという視点はなるほどなと思った。そのベースがあって、初めて経済的合理性の話ができるのだと思う。ロマンとそろばん的な。順序が大事だなと思った。
各集落の人々、その家族はどんな生活を求めているのか気になった。生の声を聞いてみたい。
併せて、ロマンに対してどんなそろばんの弾き方があるのか。生活しようと思えば、そのインフラにはコストがかかる。どんなダウンスケールの方法や集約の方法があるのか気になった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2015年5月8日
読了日 : 2015年5月8日
本棚登録日 : 2015年5月8日

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