氷壁 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1963年11月7日発売)
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本棚登録 : 1919
感想 : 215
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井上靖のドラマチックな小説。古い小説によくある、なんとも切ない話。
登山が趣味の青年二人が冬の穂高岳に登るが、切れるはずのないザイル(命綱)が切れて、一人が落ちて死んでしまう。残された主人公は、様々な疑惑のなか、どうして切れたのか追究しようとする。死んだ友人が好きだった人妻を自分も好きになるが、気持ちを抑え、友人の死に向かい合うために一人で穂高に登る。
主人公の勤め先の上司が素晴らしい人で救われる。冬山のダイナミックな描写や、しっとりと上品な女性、男同士の友情が際立っていて、細部まで手を抜かずに書かれている。個人的には少々意外な結末だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年8月25日
読了日 : 2015年8月25日
本棚登録日 : 2015年8月25日

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