Yの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 3-42)

  • 早川書房 (1988年8月1日発売)
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本棚登録 : 386
感想 : 42
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海外古典ミステリーといえば、アメリカ人ではエラリイ・クイーン(別名バーナビー・ロス)やエドガー・アラン・ポー、イギリス人ではアガサ・クリスティとコナン・ドイルでしょうか。
エラリイ・クイーンは、良く知られていますが、従兄弟二人によるペンネームです。Xの悲劇、Yの悲劇のほか、国名シリーズも有名ですね。ところが、イギリスでは図書館にもほとんど著作が見つからず、アメリカでも日本ほどは知られていないそうですね。イギリスの書店にもありませんでした。
最近クリスティの「アクロイド殺し」を読みましたが、私は「Yの悲劇」のほうがずっと楽しめました。どちらも、警察が頼りなく、部外者が探偵役として推理を働かせて事件を解決するものです。誰が犯人かを探す物語では、複雑な関係の大家族(誰が誰の継子とか乳母とか)が中心になって展開するものも多く、本作品も狂気に満ちたハッター家でさまざまな事件が起こります。舞台はニューヨークで、知っている地名がたくさん出てきて楽しめました。
この作品がなぜすごいかといいますと、文句を言わせない、緻密な論理的解決だからです。難解にするため、強引な展開や設定があることも多いですが、そういうわざとらしさを感じさせずに、読者をうならせるのはすごいと思いました。私は宇野利泰氏の翻訳で読みましたが、翻訳も素晴らしかったです。
ただ驚かされるだけでなく、読後にじわりと感慨が残る、深い作品です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2014年9月24日
読了日 : -
本棚登録日 : 2010年9月8日

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