歌手のさだまさし氏による、おそらく自伝的小説。長崎県出身で、バイオリンを習った主人公とプロフィールが重なる。
テーマは別れ。主人公雅彦が経験した大切な人たちとの別れを中心に、いろいろな時代背景で、ストーリーが進む。ところどころ時代が前後したり、登場人物がたくさんいるので混乱するが、さだ氏特有のやわらかな文章で優しい気持ちで読み進められる。
本書で初めて知った、長崎の精霊流し。手作りの小舟に灯篭を載せて川に流すイメージを勝手に想像していたが、もっとずっとスケールが大きいものだった。そしてそれは現在でも続いているようだ。一隻ずつ、その年に亡くなった故人の魂を送り流すように、長さ5メートルもの舟(型の神輿のようなもの)に、提灯をたくさんともし、爆竹を鳴らしながら町の目抜き通りを海に向かって運んでいくのだ。
大切な人たちとの別れは、温かく切ない。さだ氏の同名の曲もあるそうなので、今度聞いてみようと思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年9月17日
- 読了日 : 2020年9月17日
- 本棚登録日 : 2020年9月17日
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