地下鉄のギタリスト―Busking in London

著者 :
  • 水曜社 (2006年1月25日発売)
4.15
  • (7)
  • (1)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 26
感想 : 5
5

ロンドンの地下鉄駅構内で、楽器を演奏したり歌を歌ったりして、チップを稼ぐ人のことをバスカーというそうだ。誰でもできるわけではなく、オーディションを受けてライセンスをもらい、時間と場所を予約して演奏するシステムになっている。
本書は、日本人初のバスカー、土門氏の日々の記録である。2012年ごろロンドンに住んでいた日本人で、彼のことを知らない人はいないだろう。日本語のフリーペーパーに彼の記事が連載されていたからだ。私は残念ながら、駅で彼がギターを弾いているところに出会ったことはない。正直なところ、演奏している人がいてもあまり意識をせずに通り過ぎていた。
本書を読んで、バスキングだけで生計を立てている人がいるということを知った。土門氏の、他のバスカーたちやお客さんとの交流や、どのくらい稼げるか、どの駅のどの場所が稼げるか、といった興味深いことも書いてある。練習をしているだけというような人も見かけるが、意外にも(?)バスカーたちはみな、プロ意識をもって駅の利用客に音楽を聞かせようとしているのだ。今度バスカーを見かけたら、よく聴いてみようと思う。動画で見たら、とても丁寧に、心を込めて弾いていた。
現在は帰国した土門氏だが、たくさんのロンドナーに素敵な音楽を届けた彼の幸せを心から祈りたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年4月30日
読了日 : 2016年4月30日
本棚登録日 : 2016年4月30日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする