ボクたちはみんな大人になれなかった (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2018年11月28日発売)
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本棚登録 : 5700
感想 : 369
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大人の夢と希望と熱意が伝わってくる新しい現代小説 #燃え殻 #ボクたちはみんな大人になれなかった

■きっと読みたくなるレビュー
本作はエンタメ恋愛小説ですが、男心の純粋さ、幼稚さが盛り込まれた純文学に近いですね。2023年1冊目はミステリーではありませんが、WEB小説の名作なので読まねばと思っていました。

全体的にまるで歌詞を読んでいるような文章で綴られた小説で、ありていに言うとクサイ言い回しが多いです。しかし一文一文から作者の魂が見え隠れしていて、特に同世代・同性の私としては大好き! めっちゃ胸に刺さりました。

本作、場面の切り取りと心情描写がとても上手で、各章ごとに必ずひとつは読者の心を動かしてきます。ノスタルジーに浸らせる仕掛けとして固有名詞や小道具の使い方も気が効いてる。
さすがWEB小説で人気になっただけはある素晴らしい書きっぷりで、これぞ新しい現代小説といえる作品でした。

本作のイチ推しポイントは、やはり随所にでてくるフレーズ。
もう若くない40代になったからこそ、にじみ出てくる心の叫び。夢と現実、善と悪、大切な人たちとの出会い、青春から抜け出さない苦悩…
おそらく実は誰に伝えたいわけでもなく、作者の「かつて大人になれなかった後悔」のぼやきの数々なんではないでしょうか。

しかしその裏には、今こそ一歩踏み出そうという熱意が感じられます。
確かに若いころは辛いこともあるけど、夢も希望もあって楽しかった。しかしいつまでも懐古にふけっているわけにはいかない。
40歳だろうが、50歳だろうが、60歳だろうが、未来にむけて戦っていくぞという意識が、私には伝わってきました。

■きっと共感できる書評
本作ターゲットは「大人」でしょうが、むしろ「若者」にこそ読んでほしい作品です。自分だけが辛い、苦労している、頑張っているのに結果が出ない、幸せじゃないと悩んではいませんか?

誰しも人生なんて、嫌なことが9割で、楽しいことは1割しかありません。本作の主人公のように、その時その時を必死であがくことしかできないんです。

肝心なのは、どういう状態で嫌なこと9割、楽しいこと1割を迎えているかということ。

誰といるか、何処にいるか、そこでどう思ったか、どうしたのか。
その結果、不幸になったとしても、しょせん人生9割が嫌なことなんですよ、気楽にいきましょう!

どういう状態であるかこそが重要で、今まさにできる行動だけをすればいいのです。幸せなんて追い求めるものではなく、目の前にあるものなんですよね。

といった中年の説教臭い内容がいっぱい伝わってくる本作。とてもいい話です。もし人生に行き詰っていたら、ぜひ読んでみてください。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー以外その他
感想投稿日 : 2023年1月1日
読了日 : 2023年1月1日
本棚登録日 : 2023年1月1日

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コメント 2件

shukawabestさんのコメント
2023/01/02

本作、ググッとautumn522akiさんが推されている強さはありませんが、読み応えのある小説に見受けられました。いつも、たまらなく興味を引かれるレビューありがとうございます。どれも読みたくなるのですが、今年もその中からピックアップして自分の志向に合いそうな作品を追いかけて行きたいと思います。
今年もよろしくお願いします。

autumn522akiさんのコメント
2023/01/03

shukawabestさん、いつもコメントありがとうございます。
ええ、もちろんです~。
自分も頑張って面白そうな本を読んで、楽しくレビューしたいと思います。
今年もどうぞよろしくおねがいします!

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