心に刺さる、印象に強く残る 超・引用力

著者 :
  • 青春出版社 (2024年1月30日発売)
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── 上野 陽子《心に刺さる、印象に強く残る 超・引用力 20240130 青春出版社》
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4413233441
 
♀Ueno, Youko 19‥‥‥ Japan /
https://koisurueigo.com/yoko-ueno-profile.html
 
……「自分の言葉の信頼性を高めたい」「人の心に響き、行動を促せる
ような話ができないか」「心に刺さるおもしろい話にするにはどうした
らいいか」「記憶に残るプレゼンやスピーチにしたい」……仕事か日常
かを問わず、「相手の心を動かすことができれば、もっとうまくいくの
に!」と、もどかしい経験をした方は少なくないのでは。「人の心を動
かすことができる話し手にはある共通点がある、そのひとつが『引用が
うまい』ということ」とコミュニケーション・アナリストの上野 陽子
さんは言います。何をどう引用し、伝えたいことを最も効果的に伝える
話し方をするにはどうすればいいのか、ご紹介します。
 
 相手の心に刺さる「引用力」の秘密
 立て板に水が流れるように話したり、文章に人を引き込んだり、「あ
あ、この人おもしろいなぁ」と心を惹かれた経験はありませんか。
 私はさまざまなコミュニケーションの記事や名言集などの書籍を書い
てきました。いろんな方の取材をしたり話をしたりして、伝え方が上手
な人の多くにある特徴を感じています。
 
 それは、たとえ雑談でも話が理解しやすく、雑多に話しているようで
もちゃんと起承転結があったり、オチがついたりすること。紋切り型で
も、語るタイプでも結論がわかりやすい。
 
 加えて特徴的なのが、引用を上手に使っているということです。
 
 日常的に蓄えた、さまざまな言葉やデータなどの知識やメディアなど
で得た情報を、ほんの少し手を加えて話の中に取り込んでいます。
 
 知識とは、それ自体、あれこれ情報を取り込んだ引用の集合体のよう
な側面があります。その断片を切り取って、また別の話の流れに組み込
んでやることで、新たなストーリーになっていきます。
 
 名言もあれば失敗談やちょっとしたエピソード、あらゆる数字やデー
タも引用できます。簡単なところでは「誰かがこんなふうに言ったんだ
けどさ」というのも引用ですね。
 
 引用は、自分が伝えたいことや主張を補完し、拡張し、押し上げてく
れる役割を果たすもの。話が引用によって展開され、進化して、どんど
んおもしろくなって、人を引き込んでいってくれます。
 
 引用を自分の名言に変えたスティーブ・ジョブズ
 引用の名手といえば、スティーブ・ジョブズです。
 
 ジョブズは、ご存じの通りアップル社を創設しiPhoneやiPadなどを生
み出した人物ですが、特に、スタンフォード大学の卒業式のスピーチ
「ハングリーであれ、愚かであれ」の名言は有名です。
 
 これは、まるでジョブズの名言のように独り歩きしていますが、実は
ジョブズが考えた言葉ではありません。
 
「ホールアース・カタログ」という雑誌の裏表紙に書かれていた言葉を、
スタンフォードでのスピーチ原稿で引用したものでした。
 
 スピーチの中でその雑誌の魅力について語り、掲載された荒野の一本
道の写真と、そこ書かれていた「Stay hungry, stay foolish(ハング
リーであれ、愚かであれ)」の言葉を、こんなふうに説明していました。
 
「(雑誌ホールアース・カタログの)最終版の裏表紙は朝の田舎道の写
真で、冒険好きがヒッチハイクをしていそうな場面でした。その下にこ
んな言葉があります。
 
『ハングリーであれ、愚かであれ』。これは、(編集長の)スチュアー
トたちが活動を終えるに当たっての別れの言葉。私は常にこの言葉のよ
うにありたいと願ってきました。そして今、皆が卒業して新たに歩みを
始めるに当たり、皆にもそうあってほしいと思います。
 
 ハングリーであれ、愚かであれ」
 
 こうして締めくくられたスピーチでジョブズが学生たちに贈った言葉
は、ジョブズが思い描くハングリー精神を端的に表し、あまりにインパ
クトが強いものでした。
 
 聞き手も自分たちを鼓舞してくれる言葉として、ハッとさせられ、さ
らには覚えやすいフレーズだったこともあり、誰にとっても心に残る名
言になったというわけです。
 
 これが「雑誌の裏表紙にこんなふうに書かれていた」と説明しただけ
では、ここまでの広がりはなかったように思います。
 
 最後に念押しで、この短く濃い言葉を繰り返して締めくくった粋な使
い方。この提示方法こそが言葉自体にインパクトを与え、名言として引
用された言葉以上に名言化されたのでしょう。
 
 そして波乱万丈の人生を送ってきたジョブズ自身の心が動いた言葉だ
からこそ、誰しもの心に刺さったのだと思います。
「引用力」を高めるにはどうしたらいいのか
 
 近年は、ジョブスのような海外の経営者はもちろんですが、日本の経
営者などでも、どんどん人前に出てプレゼンテーションする方が増えて
います。
 
 そのとき誰もが大切にしているのが「話題にしたくなる要素」を盛り
込むこと。つまりは「引用力が高い」ことなのです。そもそも「引用力
が高い」とはどういったことでしょうか。端的に言えば、
 
 多くの言葉や情報の引き出しから、
 最適な材料を取り出し、
 話題をパワーアップさせる
 そんな力が高いということです。
 
 では、「引用力を高める」ためのポイントを見ていきましょう。
 
 ■引用力を高める方法1 「言葉の引き出し」を作る
 
「言葉の引き出し」は自分の頭の中で、表現や話題や知識を整理してお
く場所です。
 
 そこには自分が持っている言葉や表現に加えて、書籍、新聞、過去の
経営者のスピーチ、身近な人の体験談、興味深いデータ、深くていい話
……など、多様な会話の材料が入っています。
 
 その引き出しが多く、多様な材料が入っているほど引用がしやすくな
るわけです。
 
 ■引用力を高める方法2 話に合った引用のパターンを作っておく
 
 2つ目は、引き出しから材料を選りすぐって取り出し、最適な場面や
部分で、ピッタリはまる引用をすることです。
 
 自分だけの話ではいまひとつインパクトが足りないとき、引用を使っ
て違う言葉に置き換えたり、その道の達人の言葉を借りて強めたりする
ことで、同じ内容でも、話の重みや説得力を高めることができます。
 
 いかに、“今この話に必要な内容”を取り出すかが大切です。
 たとえば、子どもの話題ならAの話。
 新製品の話題ならBの話。スポーツの話題ならCの話。
 
 こんなふうに自分の中でパターンを作っておくことで、その場にピタ
リとくる引用ができるようになります。即興の話でありつつ、常に用意
された話を組み込むだけ。これだけでも聞き手には、知識があり、話が
上手な人と映ることでしょう。
 
「引用」を使い分けて、より強い印象を残す
 引用が上手な人は、
 
・多くの人が知っている言葉の「引用」
・知られていない言葉の「引用」
 この2つを使い分けています。
 
「多くの人が知っている言葉の引用」、見聞きしたことがある言葉は、
引用だとわかることで安心感を与えたり、パロディとしてくすっと笑え
たり、話が盛り上がったりと、聞いている人を話に巻き込み同調させる
効果が期待できます。
 
 ではもう一方の「知られていない言葉の引用」はどうでしょうか。
 
 たとえば、最初に挙げたスティーブ・ジョブズの「ハングリーであれ、
愚かであれ」。
 
 スタンフォード大学の卒業祝辞を見たことがある人や、関連の記事を
読んでいれば引用だとご存じだったかもしれません。
 
 でも、CMでも流れたあの言葉が実は引用だと知っていた人はそれほど
多くなかったかと思います。そのため引用という認識は持たれることが
ないまま、ジョブズの名言として広がっていったわけです。
 
 ほかにも、マニアックな小説のある一節、偉人のマイナーな名言とい
ったものも、知られていない言葉の引用部類に入るでしょう。
 
 多くの人が知らない引用は、引用した人の知識や話の引き出しの多さ
を感じさせます。さらにインパクトが強い言葉や事象なら、それに初め
て触れることから、強い印象を残すことができるかもしれません。
 
 いずれの引き出しを開けるときにも気にかけておきたいのは、聞き手
の年齢・年代、共有する文化的背景によって、引用した内用の認知度は
大きく変わってくるということ。
 
 そこを意識しておくと、「知っている引用を使うか」「(おそらく)
知らない引用を使うか」の使い分けができるようになります。
https://www.msn.com/ja-jp/money/career/%E5%AE%9F%E3%81%AF%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%96-%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%96%E3%82%BA%E3%81%AE%E5%90%8D%E8%A8%80%E3%82%82-%E5%BC%95%E7%94%A8-%E3%81%A7%E4%BA%BA%E3%81%AE%E5%BF%83%E3%82%92%E5%8B%95%E3%81%8B%E3%81%99-2%E3%81%A4%E3%81%AE%E6%96%B9%E6%B3%95-%E3%81%A8%E3%81%AF/ar-BB1iiRbo?ocid=msedgdhp&pc=ENTPSP&cvid=34f3c871fc6d4734941f788f5fb607e6&ei=38
 
 ※ 与太郎の提言。

 言いたいことは何度でも繰り返し、云いたくないことは一言も語らない。
 これからの原稿料は、短い文章は、長い文章より高く支払うべきだ!
 
(20240222)

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感想投稿日 : 2024年2月22日
本棚登録日 : 2024年2月22日

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