マギンティ夫人は死んだ (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 24)

  • 早川書房 (2003年12月15日発売)
3.50
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本棚登録 : 594
感想 : 56
4

ポアロもの。

先日、『ハロウィーン・パーティー』を読んだ時に、本文中に「ミセス・マギンティ殺人事件・・云々」という台詞と、『ハロウィーン・・・』に登場した、スペンス警視・オリヴァ夫人が“マギンティ夫人殺人事件”にも関わっていた。と、あったので、“これは『マギンティ夫人は死んだ』を先に読んでおくべきだったかな~”と少しシクッた感があった為、前後しますが慌てて手を出した次第です。

ポアロは旧知のスペンス警視から、マギンティ夫人殺人事件の再調査を依頼されます。
容疑者のジェイムズ・ベントリイは既に逮捕されていて、有罪が確定している状況なのですが、ベントリイが犯人とはどうしても思えないというスペンス警視・・。
真相解明の為、事件のあった現地に赴いたポアロですが・・。

いいですね~。『杉の柩 』もそうでしたが、容疑者が“ほぼ黒”状態からの逆転モノ(?)って、どのように真犯人までたどり着くのか・・・まさに、ポアロの腕の見せ所といえる内容ですよね。
いつものように、現地住人に地道なヒアリングをしていくポアロですが、滞在先のゲストハウスが残念過ぎたり、現地での“名探偵ポアロ”の知名度が低くて何かとやりづらかったり(偶然現地で一緒になった、オリヴァ夫人の方が知名度ありましたもんねw)、さらには、せっかく容疑を晴らそうとポアロが尽力しているのに、リアクションが薄い陰キャのベントリイにイラつかされたりと、何だかトホホなポアロが笑えます。
こんな感じで色々大変だったポアロですが、生前のマギンティ夫人が持っていた新聞の切り抜き記事の、“昔の殺人事件に関わった4人の女性達”からグイグイ真相に迫っていく展開にはワクワクさせられました。
そして明かされる驚きの真犯人・・そう、今回も見事に騙されちゃいましたよ!
いや、私だって“引っかからないように、怪しくない人物は逆に要注意”的な用心(?)はしていたのですが、それでも全くノーマークの人物でしたからね~。
まぁ、ある意味トラップといえばトラップなのですが・・・やるな、クリスティー・・と今回も脱帽です。

と、いう訳で謎解きは勿論、クリスティーお得意の“クセツヨ”住人達の人間描写もお楽しみ頂ける本書。
秋の夜長にピッタシの一冊かと思います~。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2023年読了分
感想投稿日 : 2023年11月25日
読了日 : 2023年11月25日
本棚登録日 : 2023年11月25日

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コメント 4件

111108さんのコメント
2023/11/25

あやごぜさん
「ほぼ黒」をひっくり返すポアロ物、楽しいですよねー!犯人絶対当てられない!
それにこの話はあやごぜさんのレビューにあるように、容疑者の反応薄いわ、宿泊先が以前のようなお屋敷でなく潔癖なポアロの神経逆撫でするわ‥と、オリヴァ夫人との掛け合いも含めて本当に笑いのツボだらけで大好きです♪

ゆのまるさんのコメント
2023/11/25

あやごぜさん
私も同じく『ハロウィーン・パーティー』を読んでから、マギンティ夫人が気になってます……!
読み終わったら、またじっくり感想を読ませていただきますね(⁠^⁠^⁠)
クリスティーはいつまで経っても「読みたいリスト」が消化できません!笑

あやごぜさんのコメント
2023/11/26

111108さん。コメントありがとうございます♪

ポアロの逆転モノ(?)、いいですよね!
私も犯人当てられませんでした~。
あろ、ポアロの宿泊先が酷すぎたり、オリヴァ夫人との絡みだったりと、思わずクスクスしてしまう楽しさのある内容でしたね(^^)。
111108さんは『クリスマス・プディングの冒険』を読まれたのですね♪
こちらも“クリスティーお徳用詰め合わせ”のような、楽しさが詰まった一冊で良いですよね~(^^♪

あやごぜさんのコメント
2023/11/26

ゆのまるさん。コメントありがとうございます♪

そうなんですよ~。
『ハロウィーン・パーティー』で『マギンティ夫人・・』を既に読んでいる前提みたいな描かれ方をしていたので、「これは・・読まねば!」と、気になっちゃいますよね~。
ゆのまるさんのレビューも楽しみにしております(^^♪
「読みたいリスト」←確かにww!
巻末のクリスティーの作品一覧を見ると“あれもこれも”と読みたい作品ばかりで目移りしちゃいますね♪

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