“ようこそ、幽霊屋敷へ・・”
ホラーが続きますが、今度は英国風のゴーストストーリー。
小さな丘の上に建つ二階建ての古い家を舞台にした、連作短編10話が収録されています。
「私の家では“何も起こらない”」という表題(第一話のタイトルでもあります)ですが、いやいや、色々起こっておりますよ!
ということで、各話で、この家で起こった凄惨な事件や悲しい事故などが語られるのですが、それぞれの話のリンクが絶妙で、うまい具合に繋がっているのが流石です。
流れるような文体で読みやすく、詩的な印象すら受けるのに、内容はまぁまぁ残酷だったりするので要注意です。
特に第二話「私は風の音に耳を澄ます」は、無邪気な少女の語りからの、グロテスクなオチへの落差が大きすぎて、グロ耐性の低い私は思わず“ひぃっ”と身を縮めてしまいました。
全体的に、じんわりと不気味な雰囲気な話が多い中、第八話「俺と彼らと彼女たち」は、屋敷を修繕する大工さんと幽霊たちの交流がユニークで、明るい読後感が好きでした。
そして、最終話「附記・われらの時代」では恩田さんの幽霊考察がサイドストーリー的に描かれていて、こちらも興味深かったです。
というわけで、雰囲気たっぷりの幽霊屋敷を堪能させていただきました。
まぁ、よく言われがちですが「怖いのは生きている人間だ。」ということですよね~。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2023年読了分
- 感想投稿日 : 2023年8月3日
- 読了日 : 2023年8月3日
- 本棚登録日 : 2023年8月3日
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