ジョーカー・ゲーム

著者 :
  • 角川グループパブリッシング (2008年8月29日発売)
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感想 : 830
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 スパイもの。面白かった。

 スパイといえば、007とか、ミッション・イン・ポッシブルとか、とにかく派手でカッコイイイメージを抱いていたのですが。実際のスパイは、ぜんぜん違っていてびっくりでした。

 スパイとは、見えない存在であること。
 何年、何十年、もしくは何世代にもわたって、自分以外の他人になりすまし、敵地に潜入して情報を流す。
 賞賛は、ない。
 正体がばれた時が失敗でではなく、疑われた時が失敗のとき。
 失敗しても、死んではならない。

 およそ普通の感情の持ち主ができる仕事ではない・・・

 結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校「D機関」。 結城中佐もさることながら、このD機関に入学した学生の優秀なことといったらもう・・・語学が堪能なことは当たり前。どんな人間にも成りすまし、一度見たものは一瞬で暗記し、どんな金庫も開ける。何ものにも捉われない、信じるものは自分だけ。
 自分にはこのくらいのことはできなければならない、という恐るべき自負心を持つ彼ら。まさに、異能。

 「ロビンソン」が面白かったです。敵にスパイだとばれた伊沢の脱出劇。自白剤の裏をかいた伊沢の抵抗は見事。と、いうより、そこまでの事態を想定してD機関で訓練させる結城中佐がすごいと思いました。

 究極の頭脳戦、本当に面白かった。続編も読みます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 柳 広司
感想投稿日 : 2013年7月12日
読了日 : 2013年7月5日
本棚登録日 : 2013年7月12日

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