ジャブ、ジャブ、左フックから右ボディ。ノーモーションから左ストレート!!
ボクシングって、スポーツの中でも群を抜いて苛酷な種目だと思う。殴るし、殴られるし、けがするし、死ぬかもしれないし。
減量しないといけないし、孤独だし。
へなちょこのクーちゃんこと、那波田空也の視点を通して見る、ボクシングの世界。1ラウンド3分。延長も短縮もない。ハンデもない。1対1で、男と男が殴りあう。
そこは、世のうつろいとは無縁の、時が止まった世界。汗と血がしぶきになってリング下の観客席に飛び散る中、涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら試合を見るクーちゃんに、自分を重ねずにはいられなかった。
あと、胸の前で祈るように手を組み、タイガー立花がやられそうになると「だめえっ!!」と叫ぶクーちゃんにも、自分を重ねた。(笑)クーちゃん、かわいい・・・
「本当はこわい。すげ-こわい」
報道人に悪態をつくキャラを演じる立花の本音。
「あー、早く終われ。帰りたいーって、いつも思いますよ」
手本のように美しいボクシングをする坂本君の本音。
「もう無理だと思うんだけど、ボクシングやめたら俺には何も残らないんで」
六回戦で負け続け、坂本君に追い越されそうになっている中神君の本音。
しみる・・・
昼はアルバイト、夕方からジムに来て、3時間の練習その後10㌔のロード。それを毎日続ける。サボりたいと思うことはしょっちゅう。けれど、毎日続ける。
それでも勝てるとは限らない。血を流し、まぶたを切って目を腫らし、それでも負けてしまう。
たとえ勝っても、数日後には、またいつもの練習が待っている。更なる高みを目指すには、より厳しい練習をしないといけない。
男たちは、あの一瞬の栄光を手に入れるために、練習して、練習して、練習する。なんという世界なのだ、ボクシングという世界は・・・
だからこそ、あのまばゆい光の下で突き上げられた拳は、あんなにも燦然と煌くのか。あまたの男たちは、あのたった一瞬の栄光のために、血と汗を噴き出しながら進むのか・・・!?
- 感想投稿日 : 2013年2月20日
- 読了日 : 2013年2月15日
- 本棚登録日 : 2013年2月20日
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