そうか、もう君はいないのか (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2010年7月28日発売)
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本棚登録 : 2022
感想 : 260
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今年は仕事でもプライベートでも「死」と向き合う機会がとても多かったので。

遺族として、共感出来るところがたくさんあったし、読み進める中で母や祖父の事を思い出さずにはいられなかった。

ー死んだ人もたいへんだけど、残された人もたいへんなんじゃないか、という考えが浮かんだ。理不尽な死であればあるほど、遺族の悲しみは消えないし、後遺症も残る。ー

母の死後、残された父を見ているのが辛い。母の死を受け入れるのは辛いが、それ以上に残された父を見ているのが辛い。突然死という理不尽な死だっただけに、後遺症は大きい。

ー最愛の伴侶の死を目前にして、そんな悲しみの極みに、残される者は何ができるのか。
私は容子の手を握って、その時が少しでも遅れるようにと、ただただ祈るばかりであった。

もちろん、容子の死を受け入れるしかない、とは思うものの、彼女はもういないのかと、ときおり不思議な気分におそわれる。ーふと、容子に話しかけようとして、われに返り、「そうか、もう君はいないのか」と、なおも容子に話しかけようとする。ー

父は母の最期どんな気持ちだっただろう。
次女・井上紀子さんの父が遺してくれたものー最後の「黄金の日日」も娘の立場から父母の様子、死を書いていて、共感出来るところがたくさんある。



読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年12月11日
読了日 : 2021年12月11日
本棚登録日 : 2021年12月11日

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