つい最近、多摩全生園とハンセン病資料館に足を運んだ。
国がここまで法的に人権を奪っていたなんて…そして、それがずっと昔のことではなく、1996年まで続いていたという事実に絶句した。
差別自体は今も解消されたとは言いがたい上に、このような罪深い日本の歴史を知らない人も多い。
本書は、「療養所」への収容を拒み人知れず「カッタイ寺」で生きてきたハンセン病患者と、ハンセン病を忌み嫌い迫害してきた人々の運命を描く物語である。
著者も強調している通りフィクションであり、事実がどこまで再現されているかは定かではないが、人々の内面の描き方にはリアリティがある。
ハンセン病資料館に訪れた際にも感じた、
「人は人をここまで迫害できるのか…」
という衝撃。
虎之助の無念を思うと本当に、本当にいたたまれない。
だが、一筋の希望が残るエピローグには少しだけ救われた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年8月15日
- 読了日 : 2016年8月15日
- 本棚登録日 : 2016年8月15日
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