丸谷才一氏最後の長編小説。
元経団連会長にして旧財閥系企業の名誉顧問である梶井のもとに、ジャーナリストの野原が訪れる。梶井は、80年代初めのニューヨークで、音楽院に通う日本人学生たち(厨川、西、小山内、鳥海)と知り合った。そして彼らが結成した弦楽四重奏団に「ブルー・フジ・クワルテット」と命名。やがて世界有数のカルテットに成長した四人には様々な軋轢が起こりはじめるが…。
旧仮名遣いで紡がれてはいるが、なめらかな文章は読みやすく、酔える。四人が繰り広げる愛憎劇は、実に人間くさく、芸術とは縁遠いように思える。しかし、確執が深まるほど、奏でられる音楽は一層美しくなるという皮肉。堪らない、けれども読むのをやめられない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年5月15日
- 読了日 : 2017年12月3日
- 本棚登録日 : 2018年5月15日
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