鬼と人と 下: 信長と光秀 (PHP文庫 サ 7-9)

著者 :
  • PHP研究所 (1993年5月1日発売)
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感想 : 14
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読み終わった印象としては、信長の思想を肯定的に、光秀の思想を否定的に捉えているという印象です。

しかし、信長の思想を肯定的に考えることは、果たして正しいのだろうか。信長には、光秀のような人が必要であり、光秀にとっても信長のような人が必要だったのではないか。結局は、信長も光秀も、自分の思想に固執して、身を滅ぼしたのではないかと思いました。

仮に信長が天下統一したとしても、泰平の世を築くことはできなかったと思います。第二、第三の明智光秀の反乱を招き、世の中は乱れたのではないかと想像しました。強烈な信長のリーダーシップにより、一時的には、世の中を安定させることはできでも、長期間世の中を安定させることはできなかったと思います。

泰平の世を築く前提として、信長、秀吉、光秀が果たしてきた歴史的意義は大きいと思いますが、徳川家康の果たした歴史的意義は、長期の泰平の世を築いたとして、より高く評価されるのではないかと思います。

などと、いろいろと考えさせられる面白い本でした。多種多様な思想信条の存在を認め、互いに尊重する土壌がないと、人の世は乱れに乱れる。大事を成すには、人と人との関係が、何よりも重要な要素なのだと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2014年4月23日
読了日 : 2014年4月23日
本棚登録日 : 2014年4月23日

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