著者は、ずいぶんこの世の中を生き辛いと
感じてきたんじゃないかな、というのが読み終わって、
読み進めていくなかでいちばんに思ったことだ。
人の悪意を人一倍感じ取ってしまう、
そしてそれ以上に自分自身のもつ悪意に気付いて、
もがいたりもして、その一方で、
どれだけ物事を曲がった見方ができるかで、
より斜めにみられる方が人として上であるような
錯覚を覚えてしまう自分もいたりする。
と、ここまで書いて、著者のことを想像しているのか、
それとも自分自身のことを書いているのか分からなくなった。
ただ、本谷さんは、かつては生き辛く思っていたとしても、
そういう人びとの有り様、自分を含めての、
気持ち悪いとさえ思える人間の世界を、
すべて受け入れて、むしろ血や肉に変えて生きているのかな、と思う。
好き嫌いは分かれる話だし、元気が出るといった類でもない。
ただ、同じようにもがいている人がいるように思えて、
混沌とした人間というものを、もっと広く受け止めたい、という気持ちになった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
LIFE
- 感想投稿日 : 2012年3月16日
- 読了日 : 2012年3月12日
- 本棚登録日 : 2012年3月12日
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