ST 警視庁科学特捜班 赤の調査ファイル (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2006年8月11日発売)
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・民事で敗訴した医療過誤を認めさせるべく、赤の出身大学病院で調査を行っていく
・当初は研修医の知識不足によるミスが原因かと思われたが、実は病状を把握した上での確信犯であり、大学病院の惨状を世に知らしめるため、あえて見逃した。犯人曰く、正常に病院が機能しているなら被害者は救えていたとのこと。嘘か本当かは分からないが、被害者を死なせるつもりはなかったらしい
・主任教授を頂点とする大学病院は腐っており、一般サラリーマン家庭出身の研修医は冷遇され、プライドを大きく傷つけられて歪んでいき今回の事件に至った
・件の主任教授は赤を追い出した張本人
・講師は研修医時代に自分のミスをナースになすりつけようとして、それを咎めた赤に濡れ衣を着せている
・赤は対人恐怖症があり、主任教授の推す内科医にはなれる気がしなかったので弁明せず、ナースを庇い法医学の教授に師事した
・医療ミスでは刑事裁判を勝つことは難しかったが、犯人である研修医が故意と認めたため勝訴
・研修医は最初から暴露するつもりで被害者の妻に接触し、民事・刑事と裁判を起こさせた(妻は真相を聞かされてはいないが、親身になってくれる研修医の言うことを聞いた)。すぐに公表しなかったのはとかげの尻尾切りで済まさぬよう、事件の調査をすすめる時間稼ぎをするため
・赤は環境に馴染めなかった自分と研修医を重ねているが、周囲は前に進んでいる赤は研修医とは同じではないと励ます
・赤の女性恐怖症はナースたちの「ちゃん付け」に起因しているらしい(ナースたちの親愛の証だったが、本人はバカにされていると思っていた)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ
感想投稿日 : 2022年10月13日
読了日 : 2022年10月13日
本棚登録日 : 2022年10月13日

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