福井の田舎を舞台に明治当時まだ珍しい「眼鏡」作りに挑む兄弟の奮闘を描いた作品。
西洋文化の影響をうけ社会が変わりゆくなか、先見の明で兄・五左衛門に眼鏡作りの可能性を説く弟・幸八。
後戻りの出来ない状況での試行錯誤。
五左衛門の妻・むめに対する兄弟が抱く複雑な気持ちからも目が離せない。
『まだ暗闇にある未来を、手を伸ばせば届くことのように語れる男』
素敵。夢物語で終わらせないところがまた格好いい…。
読書を通して「先人の歩み」に触れ、その長い道のりを思うと尊敬の念を抱かずにいられない。
未来に何の保証もない不安。手探りの日々。一蓮托生の重い責任。出会いと別れ。
それらを全て乗り越えた結末に胸がいっぱいになった。
五左衛門の想い。幸八の想い。むめの想い。末吉の想い。一人一人の気持ちを思うと胸に込み上げてくるものがある。
じわりと染みる良作でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年1月3日
- 読了日 : 2023年1月3日
- 本棚登録日 : 2020年11月30日
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