クローズドサークル?というのかな?
人文科学実験の被験者募集という名目で集められた12人の男女。常識外れの時給に惹かれて集まった彼らは外界から隔離された〈暗鬼館〉に閉じ込められる。そこにはまさに人間の疑心暗鬼を徹底的に利用してお互いを殺し合うように仕組まれた館だった。
それでも、何事も起こさず高額なバイト代をもらえればいいと思っていた彼らだったが、翌朝参加者の一人が死体となって発見される……
そこからは、お互いがお互いを監視し、疑い、騙し人間の浅ましさやいやらしさが、これでもかと彼らを苦しめ、追いつめていく。
彼らの雇い主、主人の目的は何なのか?
誰が誰を殺したのか?生き残るのは誰なのか?
文章は読みやすくてテンポもよい。展開も早く先が気になってどんどん読める。始めは登場人物が多くて把握するのに何度か読み返したが、それぞれのキャラクターがつかめてからは一気読みだった。
トリックにも無理がなかったし、伏線回収も見事だったと思う。ただ、最後にもう少しあっと驚く仕掛けが欲しかった気もする。結局なんで10億円が必要だったのかもわからずじまいで、犯人にどんな感情を持てばいいのかわからない。犯人の背景とか人物像がほやけていて、もったいないなぁ。と感じた。
終始ミステリアスな存在だった須和名さんの正体も、もう少し解説が欲しかった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年6月23日
- 読了日 : 2023年6月23日
- 本棚登録日 : 2023年6月18日
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