中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)

著者 :
  • 医学書院 (2017年3月27日発売)
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私でもあなたでも、その三人称でもない世界を考えるよいきっかけになる。言語学のアプローチを多用して、そもそもギリシャには中動態があったのにそれが時代とともに消えてしまったという。今でも再帰動詞にその名残はあり、言語学的にはまったく別系統の日本語にも見ゆ、聞こゆ、がそれに当たるという。後者はちょっとした発見だった。

言語学の歴史だけでも楽しめるのだが、本論である中動態に関しては自由意志は存在するのか、などは読み応えがある。スピノザの自由/強制の議論やコナトゥスの議論になるとやや難解にはなる。ここでついていけても最後の章でやや消化不良になってしまった。

本を読む前になぜ医学書院から出てるいるのかと考えた。その理由はあとがきでもわかるのだが。医師はそれこそ中動態で仕事をしている人たちなのだと理解した。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学
感想投稿日 : 2023年6月4日
読了日 : 2023年5月30日
本棚登録日 : 2021年9月5日

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