誰にも書けなかった戦争の現実

  • 草思社 (1997年7月1日発売)
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感想 : 2
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太平洋戦争における日本軍兵士の失敗については、数多くの本で紹介されており、書店で戦争に関する本を探せば、その類の本はいくらでも見つけることができます。では、連合軍はどうだったかと言うと、実は日本軍同様に多くの失敗をしていたようです。そのような前線で戦っていた連合軍(特に米英)の兵士達の現実を紹介したのがこの本です。
例えば精密爆撃と言いながら、精度が低くて自軍が巻き添えになり、逆上して友軍機に発砲したり、恐怖心から味方を相手と間違って撃ってしまうようなことは、よくあることだったようです。そのような現場での失敗事例も含めて、戦時中の噂話、軍の中のいじめの問題、兵士達の飲酒や性の実態、生活物資の不足への対応、心理的な影響など、軍隊の中の人間社会が抱える問題(特に国のために戦うというモチベーションをいかに維持していたか)について焦点を当てており、とても面白い内容でした。
戦略や戦術の失敗という大局的な見方もありますが、「戦争は現場で起きている」という観点で見ると、この本からは多くの教訓を得ることができると思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2020年1月2日
読了日 : 2001年8月16日
本棚登録日 : 2001年8月16日

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