パタゴニア あるいは風とタンポポの物語り (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (1994年6月17日発売)
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本棚登録 : 554
感想 : 51
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写真の椎名誠が若くて驚く。
読んでみるとちょうど『岳物語』の頃で、岳に出てくるチャンピオンベルトを作る場面がある。
他の椎名誠の旅行記と違うのは、やはり心配事を残したまま日本から一番遠いパタゴニアに行かねばならない思いが反映されているからだろう。
当時の夫婦としては当然かもしれないが、サラリーマンを辞めて作家になりすごく売れた歪みが妻に行ってしまうのは、今の目で見るとひどいと思う。妻は仕事、家事育児の上に夫のマネジメントまで行い、それだけでも心身ともに疲弊するのに、変なマスコミやストーカーじみた読者の対応までしたんだから。
ある意味、この危機にあってもパタゴニアに行ってしまう夫を見て、妻も諦めがついたのかも。この人に頼っても仕方ない、という。それで家庭が崩壊しなかったんだから、余程愛が合ったのか。思いやりは互いに感じたんでしょうね。
色んな人にであったり、現地の食べ物を食べたりする描写はいつも通り面白いが、他は暗いトーンで、椎名作品で愉快になりたい人には向かないかもしれない。でも人生いいことばかりじゃないから、私はこれも悪くないと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年11月4日
読了日 : 2018年11月4日
本棚登録日 : 2018年11月4日

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