寿命図鑑 生き物から宇宙まで万物の寿命をあつめた図鑑

  • いろは出版 (2016年7月24日発売)
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感想 : 56
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コンセプトは面白いと思ったが、読んでいるうちに違和感が。まず哺乳類の寿命が、野生動物も飼育される動物も、食肉となる動物もいっしょくたになっていること。「肉牛2年」「ハムスター2.5年」「野良猫5年」って、これ同列に比較できないでしょ。日本人の寿命のところでは「縄文時代15歳」「鎌倉時代24歳」となってるけど、これは平均寿命で、乳幼児の死亡率が高かった時代はそうなってしまうわけで、みんなが15歳前後で死ぬわけじゃない。でも、それまでの動物や昆虫の寿命は、あくまで成熟した個体の平均寿命で、産卵後、出産後の数から出したものではない。つまり人間同じ算出方法ではない。これについて何の説明もなく、子供にはわかりづらい。さらに進むと、食品の賞味期限や機械の耐用年数まで「寿命」というくくりで横並びに。
比較できないものを横並びにして一体何の意味があるのか。
まったく謎。
一番不快だったのは、死んでいく動物の絵に涙が描いてあること。虫にも鳥にも。動物と人間の死の受け入れ方は違う。安易に涙を描くのは間違っている。
こんな本だから、「昆虫の寿命」のところにクマムシや蜘蛛が入っているのはある意味小さな間違いのように思える。
可愛い絵で、オールカラー、ぱっと見よさそうな本だけど、作り手の誠意は感じられない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年11月3日
読了日 : 2016年11月3日
本棚登録日 : 2016年11月3日

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