1.この本を選んだ理由
会社の本棚を見ていたら、面白そうな小説があったので手にしました。
2.あらすじ
物語は刑事2人が山形県で行われている将棋のタイトル戦の現場に到着する、今から始まる。その少し前に戻って、今に向かって捜査していく現代軸と、事件に関係する上条の子どもの頃から少しずつ成長を追う過去軸の2つのお話が交互に展開していく。
今に向かって、じわりじわりと、謎が解き明かされていきます。ゆっくりと、昔の話と、少し前の話が交差しながら、事件の展望が明らかになっていきます。
563ページ。長編です。
3.感想
すごい、じわりじわりくる。じわりじわりと真実に近づいていく感じがすごい。
はじまり部分から、すごい哀しい結末がやってくる気がして、じわりじわりと、哀しさが積み重なっていく感じでした。ぜったい、哀しいラストだと、中盤で確信めいたものに変わっていき、読むのが辛い気持ちになります。
登場人物達の立ち位置というか、人間味というようなものが全く違うので、人生感みたいなものも、考えてしまう作品でした。幸せとは何なのかと。
章ごとの最後の感じが好きで、「小さな肩の感触が残っていた。」とか、「タクシーは走り出した。」とか、すごい、この作品の場面にいるような感覚を与えてくれます。じわりじわりと押しつぶしてくる感じと、もやっとした感じとが、混ざり合わさったような感覚でした。
ほんと、素晴らしい作品でした。向日葵をみて、儚さを感じたことはありませんでしたが、この作品の中には、儚い向日葵が見えました。
ただ、将棋の盤面のマス目はいらなかったんじゃないかと思います。将棋がわかる人が読むと、また違った側面が見えてくる作品なのかもしれないですが…
4.心に残ったこと
そんな人もいる、ということ。
生まれた環境はどうにもできない。ここでも虐待がでてきて、何とかならないのか、と思う。
自分の血のめぐりの悪さ、という表現。なかなか面白い!
ものを知らないことほど、怖いものはない。正しい知識を持たなければ、正しい判断は下せない。その通り!
5.主な登場人物
佐野直也 元奨励会員
石破剛志
上条桂介
上条庸一 父
上条春子 母
唐沢光一郎
東明重慶
- 感想投稿日 : 2022年3月19日
- 読了日 : 2022年3月19日
- 本棚登録日 : 2022年3月8日
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