日本の軍隊は欧米のように実社会の階層が反映されなかった。実社会での地位や階層はおおかた無視される。筆者はそれを「真空地帯」と呼ぶ。
徴兵検査ではアナルまでほじくられ、権威ある東大の学者が軍隊序列の最下級に遇され、田舎出の下士官にぶんなぐられる。本書は「丸山をぶちのめしたい、戦争は希望なんだ」と訴えた赤木論文の大本をわかりやすく教えてくれる。
心理学者によれば、トラウマは自己の努力だけでは語ることができない。ゆえに従軍記や動員された知識人たちが戦後に書いた物には語られなかったこと、「格好つけてる」部分がある。その部分を真に受けず、「語ることができなかったこと」を念頭に読もう。まんま小熊英二が「<民主>と<愛国>」で言っていたことをさらっと使ってる。「格好つけた部分」を「真に受ける」ことも、学ぶ観点からは大事なことだと思うけど、まあそれはこの本のポイントではない。男性学した男性学。
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- 感想投稿日 : 2013年3月24日
- 読了日 : 2013年3月24日
- 本棚登録日 : 2013年3月24日
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