赤めだか

著者 :
  • 扶桑社 (2008年4月11日発売)
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 立川流家元の直弟子の中でもいま一番チケットがとりにくいであろう談春師(志の輔師のほうが公演数が多い分。気のせいか?)の子供時代、弟子入りしてから、真打になる前の、前座修行のこと、築地での修行など事細かに。

 談幸師の『談志狂時代』が立川談志のことが好きで好きでしょうがない弟子による「ラブレター」であるとすれば、『赤めだか』は現在の談春がどうやって出来ていったか、という「履歴書」である。 どう違うかというと、『談志狂時代』は起こったことを全部書こうという一種の「記録」なのに対して、『赤めだか』は面白そうなところだけかいつまんで話そう、という一種の「ベスト盤」の立ち位置で文章をものしているんだろうなぁ、という。かといってこれがふたりの芸風を……とは言わない。言えない。実は談幸師の高座に当たったことが無いんですアタクシ。

 で、まぁ、面白いには違いない。んだけれども、文章で書くという手段がより成功しているのは、『談志狂時代』かなぁ……と、思うのです。
 何年前の花形演芸会か、談春師の「包丁」でボロボロ泣いた身としては談春好き好きフィルターちゅのがどうしてもあるけど、じゃあ、ほかの噺家が、師匠も代えて同じエピソードを書いていたら面白いかなぁ、というとそうでもない気がしてきた。

 並はずれて面白い読み物であることは間違いない。という前提の上で、まぁだいたいこういったことが云えるのではないかしらん。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 落語
感想投稿日 : 2013年6月24日
読了日 : 2013年6月24日
本棚登録日 : 2013年6月24日

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