のぼうの城

著者 :
  • 小学館 (2007年11月28日発売)
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感想 : 1447
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「映画より小説の方が絶対面白いよ」。
映画も観てないし原作もまだ読んでないと言うと、そんなふうに勧められた。

時は戦国時代。天下人・豊臣秀吉が統一の前に立ちはだかる最後の勢力は小田原を居城とする北条氏。

…だけど、本書の主人公はその臣下にあたる、今の埼玉県あたりを本拠地とする成田氏の城主…の、従兄弟。

坂東武者といえば、平将門を筆頭に自らも身を粉にして湿地や荒地を開拓した剛の者たちの血を引く者だ。
粗野で品はないかもしれないが、パワーに溢れている…そんなイメージ。

その「浮城」こと忍城を攻めるのは軍略に長け…てない、石田三成。圧倒的な軍勢で挑む彼らに対し、我らが(?)のぼう様、こと成田長親はのほーんとして百姓の田植えを手伝ったりしている(つもりで、邪魔になっている)。
まるで赤子のごときこの大男は、一体何を考えているのか最後までわからないが、読む者も彼を愛さずにはやまないだろう。

関東人として、意味もなく何だか誇らしくなっちゃう物語。文体も程よくくだけていて読みやすく、味がある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2013年4月10日
読了日 : 2013年4月10日
本棚登録日 : 2013年4月10日

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