冒頭、びっくりさせられるよね。
二昔前ならあばずれ(死語)の言う言葉。
しかし、生き生きとした文章になっているよ。
明治時代の言文一致運動を彷彿させるというのはおおげさかな。
当時の新聞連載の大衆小説とかの会話の部分はかくやと思う。(徳田秋声「あらくれ」とか泉鏡花「婦系図」二葉亭四迷「浮雲」田山花袋「蒲団」などをおもしろく読んだのでなお思う)
高橋源一郎さんもあるコラムにて太宰治の「女生徒」高橋治「桃尻娘」と上げておとめ言葉の変遷をおもしろく書いてらしたし、私も「桃尻娘」は痛快だったのだ。シリーズ完読したもの。
そう、現代はやり言葉の語りとしてはいい、「あいこ」の素直な生き方みたいなものはよくわかるし、これからもっと成長するだろうなーという予感がして好もしい。「ばか、うざい!」っていわれそうだけれど。「森」はこの小説の意味を深める童話。しかし「あいこ」言葉で語ってほしかったような。大きい活字も一行か二行で止めておけばいいのにとも思った。でも、コミックもろくろく読んでいない私にはコミック的でもあったし、おおいに珍しかった。
難はきっかけになった「佐野」事件のゆくえがはっきりしなくて何か物足りない。私など犯人は「陽治」などと途中で勘ぐった次第。深読みしすぎ。
あ-あ、それにしても『減るもんじゃねーだろ...』ってほんとに一気読み、時間が減らない面白さではあった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2005年
- 感想投稿日 : 2021年9月12日
- 読了日 : 2005年7月13日
- 本棚登録日 : 2021年9月12日
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