ひかりのあめふるしま屋久島 (幻冬舎文庫 た 12-4)

  • 幻冬舎 (2001年8月1日発売)
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感想 : 90
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田口ランディさん2001年の文庫版。

やっぱり、心に沁みた。
魂が洗われるとはこのこと。

ムーミン・パパがよく言ってました。
「宝石のような小説を書きたい。」と。
田口さんはそんな文章を書ける人だと思う。

いっぱい宝石はあったけど、私の心が沁みたのは照葉樹林のはなし。
屋久島には、アジア屈指美しい照葉樹林あるという。その新緑を見に行ったときのこと。

へんなことだけど、照葉樹って紅葉する木だと思い込んでいた。
だって、「照る山もみじ~」という歌があるではないか。

しかし、田口さんは「多くは常緑樹で、比較的小さな葉をもっている。葉の表面が光沢があっててかてかしている。ツバキの葉を思い出してもらえばいい。」と解説する。

ああそうなんだ。

照葉樹林は葉を落とさない常緑樹が多く、
「春になると古い葉の先にいっせいに新芽を出してくる。それは遠くから見ると樹全体の不思議な陰影となる。」

そうそう、春の芽吹きは絵になる。

そのあとが怖いような...。
「古い葉をバックにした新芽は光り輝いて見える。」から、樹林全体がくっきりと浮かび上がって見えるので美しいと。

なるほど、古いものがあるから新しいものが引き立つ。

ますます、引き立て役どころに徹しなくてはと自戒する。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2003年
感想投稿日 : 2021年9月17日
読了日 : 2003年11月23日
本棚登録日 : 2021年9月17日

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