田口ランディさん2001年の文庫版。
やっぱり、心に沁みた。
魂が洗われるとはこのこと。
ムーミン・パパがよく言ってました。
「宝石のような小説を書きたい。」と。
田口さんはそんな文章を書ける人だと思う。
いっぱい宝石はあったけど、私の心が沁みたのは照葉樹林のはなし。
屋久島には、アジア屈指美しい照葉樹林あるという。その新緑を見に行ったときのこと。
へんなことだけど、照葉樹って紅葉する木だと思い込んでいた。
だって、「照る山もみじ~」という歌があるではないか。
しかし、田口さんは「多くは常緑樹で、比較的小さな葉をもっている。葉の表面が光沢があっててかてかしている。ツバキの葉を思い出してもらえばいい。」と解説する。
ああそうなんだ。
照葉樹林は葉を落とさない常緑樹が多く、
「春になると古い葉の先にいっせいに新芽を出してくる。それは遠くから見ると樹全体の不思議な陰影となる。」
そうそう、春の芽吹きは絵になる。
そのあとが怖いような...。
「古い葉をバックにした新芽は光り輝いて見える。」から、樹林全体がくっきりと浮かび上がって見えるので美しいと。
なるほど、古いものがあるから新しいものが引き立つ。
ますます、引き立て役どころに徹しなくてはと自戒する。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2003年
- 感想投稿日 : 2021年9月17日
- 読了日 : 2003年11月23日
- 本棚登録日 : 2021年9月17日
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