賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎 (2016年10月28日発売)
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感想 : 44
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2022.08.27
若干タイトルと内容に齟齬があるような気がするけれど、読んで良かった。
具体的に読者が行動できることを明記していることから、著者の「この問題をどうにかしたい」という必死な思いが伝わってくる。

家庭でできることはもちろんたくさんある。
買うことは投票すること。信頼できる企業から買うことで消費者も社会を変える一員になれる。

大きく変えるには大企業や政府の力が必要だけれども、だからと言って個人が何もしなくていいわけではない。できることから少しずつ。エシカルな消費を目指していこう。

フードバンクという取り組みがある。
まだ食べられるのに外装の破損などで出荷できなくなった食品を企業から引き取り、福祉施設などへ配給する組織のことだ。
それと似たような活動でフードドライブというものがある。
家庭で余っている食材を集め、困窮している人たちへ配る活動のことで、フィットネスクラブのカーブスや一部地方自治体などで実施されている。

ただフードドライブには難点もいくつかある。
まずは賞味期限の問題。外国では賞味期限が切れていても回収OKなところもあるが、日本では2ヶ月以上賞味期限までゆとりがあること、等厳しい。
「賞味期限が切れてもまだ食べられる」ことが広く知られるべきなのである。
そもそも厳しすぎる賞味期限設定が悪いのか、「ルールをきっちり守り、守らなかった場合は個人の責任」という国民性が良くないのか・・・
あとは「余った食品を与えられる困窮者への差別や栄養の問題」もある。
余ったものを何でもかんでも与えてもまた廃棄されることだってある。
まだまだ問題が山積みだと感じた。

国民性なのか、杓子定規に判断したがるところが日本では多い。それが高度な衛生管理にもつながっているし、食の安心安全のためには必要なのかもしれないが、そのせいで多くの食品廃棄を産んでいるように思う。
例えば賞味期限が3ヶ月以上ある食品は日付表示を省略しても良いとされているにも関わらず、日付表示をしているものがまだまだ多い。
日付表示をしない方が期限にゆとりを持たせられるのにしないのは、ロット管理の観点からだという。

また、日本人は「何をどれだけ食べると体に悪い(良い)」と考えるとき、「何を食べるか」に重点を置きすぎ、どれくらいの量を食べるか、が抜け落ちている場合が多いように感じる。
どんな良い食べ物も、また悪い食べ物や添加物なども、どれくらいの量を食べると体に影響があるのかを考えて摂取する必要がある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年8月27日
読了日 : 2022年8月27日
本棚登録日 : 2022年8月27日

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