荒城に白百合ありて

著者 :
  • KADOKAWA (2019年11月21日発売)
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脳内で大河ドラマの「八重の桜」キャストが動きまくってましたわ。
日本人ならだれでも知っている会津の悲劇。容保の、白虎隊の、幕府と共に散るその命の悲しみ。
でも、そこには表には出てこないもっとたくさんの人生があったはず。あのときそこにあったであろう二つの命の物語。
会津と薩摩。幕末に欠かせない両藩の間に、こんな命のやりとりがあったなんて。
たった三度しか会ったことのない人と、こんな風に激しく冷たくそして熱く思いを重ね合わせられたら、そりゃもう他には何もいらないでしょうし、なんびとたりともその思いを遮ることなどできようもなく。
運命とか宿命とか、そういうものさえ超越した何かによってつながった縁としか言いようもない。
何が二人とこんなにも強く惹きつけ合わせるのか。死の間際にしか交わせない思いも、死でもって結ばれる関係も、言葉でいえば悲劇でしかない。
なのに、この悲劇的な関係が、この上なくうらやましく思える。もし、こんな風に最期に思いを重ねられるのなら、他に何も望むことなどない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2019年11月
感想投稿日 : 2019年11月21日
読了日 : 2019年11月21日
本棚登録日 : 2019年11月21日

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