水辺のブッダ

  • 小学館 (2019年5月15日発売)
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本棚登録 : 95
感想 : 16

『あん』を、ただのいい話として描かなかったドリアンさんだな、と、しみじみ。
川辺に段ボールやシートで作った家に住み、空き缶を拾いお金に換える。そういう暮らしをしている人たち、ひとりひとりにその暮らしを続けざるを得ない理由がある。それぞれに理由があり、それぞれに人生の物語がある。

自分を抑えきれずに人を殺めてしまった一人の男。娘のために、と離婚し希望のない生活を続ける。ただ一つだけの望みは娘の幸せ。なのに娘もまた家族に恵まれず、絶望の中で生きていた。こんなことって…
大都会東京。普通で考えたら重なるはずもない二つの命の線が偶然と奇跡によって交わる。
だけど、それを過度に美化しない。美化しないことで終わらない物語となる。
これは、きっと、日本中の、あらゆるところでありえる話、なのだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2020年5月
感想投稿日 : 2020年5月24日
読了日 : 2020年5月24日
本棚登録日 : 2020年5月24日

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