☆☆☆☆☆☆最高!
こんな表現で申し訳ないが、自分の幼少から今に至るまでの縮図を見せられたかのような感覚が残ります。
この感覚は、少年期をもつ誰にでも当てはまるものなのではないかとも思える。
ひとりではまだこの世の中で生きていくには不十分な存在の少年。
そんな彼が自分を受け入れてくれない父親との絶望的な境遇を描くシーンはいたたまれない。
自分が外の世界と繋がるために、外の世界を拡張するために必要な自転車へ、自分の唯一の信頼のできるものとしての愛情を無意識のうちに抱いていた。
自分の信頼できるものが、周囲に存在しない彼には、自分がこの世で生き抜くための、信頼できる対象が必要だったのだ。
母親に代わる女性への執着、男としての勇ましさの象徴の様に見えた不良の少年、そういった対象と交わりながら、試行錯誤を繰り返し、自分の信頼でき、心が休まる対象を獲得していく。
でも、彼のそんな心のひだを感じ取る庇護者の女性は、彼女の恋人との将来よりも、この少年に自ら関わっていくことの方に自分の精神的充実をかけた。
それは遠回りのようでだけど、物凄く意義のあることだということが、この映画を見終わって感じられた。
「良い人生」とは豊かさや恵まれた環境に生きることではなく、自分に与えられた環境をいろいろな出会いと経験をとおして得られる雫のようなものを感じる感性のことなのだなぁ。
男諸君には是非観てもらいたい映画。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年10月11日
- 読了日 : 2016年9月22日
- 本棚登録日 : 2016年9月22日
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