ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験 (光文社新書)

  • 光文社 (2011年8月5日発売)
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感想 : 13
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民間企業において最も最難関な職業とは宇宙飛行士ではないだろうか。医者もパイロットも技術者もその先にある職業として「宇宙飛行士」が存在する。エリートの中のエリート。それをどのような方法で選抜し、そして何を大事にしているのか、この本にはそんな宇宙飛行士選抜試験の内容が記されている。
「宇宙兄弟」という漫画で兄のムッタが選抜試験を受けるが概ね、その内容と一緒である。この本には漫画の内容になった人物のモデルとエピソードが書かれている。「宇宙兄弟」が好きな人も楽しめると思う。
宇宙飛行士になるための「正しい資質(ライトスタッフ)」はなんなのか。

・ストレスに耐える力
・リーダーシップとフォロワーシップ
・チームを盛り上げるユーモア
・危機を乗り越える力

JAXAは上記4点を評価している。

ストレスに耐える力
極限にまでストレスを与え、その状態でもベストパフォーマンスが発揮できるかどうか。人間関係如きでストレスを感じるような人間はまず宇宙飛行士になれない。自分の小ささが嫌になった。この国は世界一、心が狭い民族の国なのだから、他人に好かれるわけがないのだから人間関係なんぞどうでもいい。
リーダーシップとフォロワーシップ
自分の得意分野ではリーダーシップを発揮し、フォローする立場になったら勇気を持って発言するのがフォロワーシップ。日本はリーダーシップに目をつけがちだが、実際に必要なのはフォロワーシップなのだと分かった。他人の実力をフルに発揮できるように振る舞う能力。宇宙に限らず、人生において最も大事な能力。ただし、リーダーシップとフォロワーシップは両輪でどちらかだけでは機能しないのも分かった。
チームを盛り上げるユーモア
このスキルは私が最も欠けているスキルかもしれない。これも鍛えていきたい。安易な女ネタや下ネタを使わないで、どのようにユーモアを身につけるのか。難しい。
危機を乗り越える力
実現不可能な課題を与えられても、最後まで冷静に諦めないで実行できるか。これも大事なスキル。諦める、捨てる決断も大事なのだ。極限ストレスでも危機を乗り越える能力。ピンチの時こそ人間は本質を表す。思えば、「火星の人」も「プロジェクトヘイルメアリー」の主人公も最後まで諦めない「ライトスタッフ」の持ち主だった。

この本には、人間の能力を正しく見抜くための指標が揃っている。ライトスタッフこそ、人類が目指す指標なのだと思った。大事なことを見失いそうになった時に読み返したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自己啓発・趣味
感想投稿日 : 2023年1月28日
読了日 : 2023年9月9日
本棚登録日 : 2023年1月23日

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