科学哲学の冒険 サイエンスの目的と方法をさぐる (NHKブックス)

著者 :
  • NHK出版 (2005年1月27日発売)
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 科学ってどれくらい「正しい」のだろうか? みたいなことをふと思ったので、なんとなく科学哲学の本を読んでみた。その問いに対する答えは今のところ「確実に正しいとは言えないが、他に上手くいく方法が無いし、実際上手くいってる」という感じ。なにかすっきりしないけど、知らないこと、普段考えていなかったことについて考えることができて中々面白かった。科学が明らかにしている通りに世界が実在しているのかどうかとか。

 帰納を正当化するのは難しいが、だからといって使わないというわけにもいかない。論理的に正しい云々は別にして、今まで帰納は役に立ってるから。反証主義は帰納抜きで推論について考える良い方法だけど(それに面白かったけど)、到底上手くいくものとは思えない。結局反証されない仮説が正しいとは言ってないわけだしね。

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目次

はじめに

Ⅰ 科学哲学をはじめよう――理系と文系をつなぐ視点
 第1章 科学哲学って何? それは何のためにあるの?
  1 デカルトもライプニッツもじつは科学哲学者だった
  2 科学哲学者が失業しないワケ
  3 本書の二つの立場――自然主義と科学的実在論
 第2章 まずは、科学の方法について考えてみよう
  1 素朴な疑問――なぜ科学は理論と経験のバランスがとれているのか?
  2 ここで演繹と帰納について復習しよう
  3 科学的方法論としての仮説演繹法
  4 理論と観察をめぐる問い
 第3章 ヒュームの呪い――帰納と法則についての悩ましい問題
  1 帰納を正当化できるか?――帰納をめぐる第一の謎
  2 科学から帰納を追い出してしまえ!――ポパーの反証主義
  3 科学とトンデモはどこが違うのか?――線引き問題
  4 次のエメラルドは緑か青か――帰納をめぐる第二の謎
 第4章 科学的説明って何をすること?
  1 なぜ「説明」は重要なのか?
  2 DNモデル――科学的説明が推論だとすると、こんな困難が生じる
  3 では、DNモデルのどこがまずかったのだろう
  4 原因突き止めこそが説明である――因果メカニズムモデル
  5 説明の目的は原因の特定だけなのだろうか

Ⅱ 「電子は実在する」って言うのがこんなに難しいとは――科学的実在論をめぐる果てしなき戦い
 第5章 強敵登場!――反実在論と社会構成主義
  1 科学的事実も社会的構成物か
  2 まずは議論を整理しよう――科学的実在論論争のポイント
  3 社会構成主義ってどこがおかしいの?
  4 観念論と反実在論はどこが違う?
  5 構成的経験主義――科学的実在論の最強の敵
 第6章 科学的実在論vs.反実在論
  1 第1ラウンド――奇跡論法で実在論を擁護する
  2 第2ラウンド――観察可能/不可能の区別を疑う
  3 第3ラウンド――決定不全性というヤッカイな概念

Ⅲ それでも科学は実在を捉えている――世界をまるごと理解するために
 第7章 理論の実在論と対象の実在論を区別しよう
  1 基本法則は嘘だからこそ役に立つ?
  2 われ操作す、ゆえにソレあり
 第8章 そもそも、科学理論って何なのさ
  1 「科学理論について文パラダイム」に引導を渡す
  2 これがイチオシ――科学理論の意味的捉え方
  3 「意味論的捉え方」ってこんなにスグレモノ
 第9章 自然主義の方へ
  1 反事実的依存――これこそが「説明」の本質だ!
  2 科学の究極の目的についてこんな答えが出た!
  3 実在論者に残る最後の宿題――科学方法論のメタ正当化
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 非フィクション
感想投稿日 : 2013年6月12日
読了日 : 2013年6月4日
本棚登録日 : 2013年6月4日

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