チャペックは、以前『園芸家12ヶ月』を読んだだけだったが、これが大変面白かった。優れた比喩によって、彼独自のユーモアと園芸への愛情が十二分に描き出されていた。
その次に、この『長い長いお医者さんの話』を読むことになった。『園芸家12ヶ月』ほどではないが、この本も面白かった。郵便屋さんのお話の、冒頭部分が非常に気にいった。確かに、郵便配達屋さんにも、童話があって然るべきである。
「王女様と子猫の話」の魔法使いの話を読んでいる時、O・ヘンリーの短編に出てくる名探偵ベンプライスを思い出した(タイトルは「最後の改心」とかだったかな?)。相手の思惑を知りながら手助けをする魔法使いが、元泥棒だということについて知らないふりをするベンプライスの姿と被って見えたのだろう。
収録されているいずれの話にも、「善いおじいさん」、「悪いおじいさん」というような、規範的性格が最初から与えられていないことは好ましかった。さらに言うと、善行を施した人たちが、ほどほどに報われていることも好ましかった。鼻白んでしまうようなお説教くささというものをあまり感じなかった。
あと、カラスが「クラール」と今でも鳴き続けているという話も面白かった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
児童文学
- 感想投稿日 : 2020年10月27日
- 読了日 : 2020年10月27日
- 本棚登録日 : 2020年10月27日
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