僕はいかにして指揮者になったのか

著者 :
  • はまの出版 (1995年7月1日発売)
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感想 : 12
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指揮者の佐渡裕さんがどのように音楽に携わり、偉大な師匠(小澤征爾・バーンスタイン)に出逢って指揮者になったか。という修業時代を綴ったもの。
佐渡さんはどっしりとした風貌で、メディアにも数多く登場し、一万人の第九なんてのもやっちゃったりする、魅力的な指揮者だ。指揮を振りだしたら、大量の汗を飛び散らし、情熱的に歌ったり、泣いたり、叫んだり、指揮者として今までに見たこともないほどのパフォーマンスを披露する。ワンステージで体重が5kgも落ちてしまうそうだ。あれだけのパワーを使っていればそうだろう。お喋りも楽しいので、そんなわかりやすさが人気の秘訣なのだろう。実は母が「佐渡さんが書いた本ないの?」という一言で探して読んだ本である。
人柄がそのまま活字になっているので、とても読みやすく面白い。なんせ世界の小澤・バーンスタインが関西弁で喋るのだ。「ここはな、この部屋からみんなを大宇宙につれていかなあかん」「ライフ・キャン・ビー・ビューティフルや!」なんて言っているのを想像するだけでも楽しい。独学で学んだ指揮法で素晴らしい師匠に出逢い、最前線で活躍しているのは、音楽が好きだという情熱と人柄なのだろう。人が人を呼び、繋ぎ、成り立っているというのがとてもよく分かる。もちろん相当な努力をしたと思うが、そのような地道な部分はまるでなく、みなさんのおかげでこうして大好きな音楽で仕事ができていますという感謝が綴られている。一瞬のチャンスを逃さずものにしてきたのは、さすが一流だ。
国際コンクールの様子が書かれているのだが、クラシックコメディ漫画「のだめカンタービレ」で千秋さまが受けた国際コンクールの内容そのままだった。(オケを振りながら間違い探しをしたりする場面。)あの部分は佐渡さんに取材したのかなーなんて思いながら読みました。
音楽を楽しむこと。いや、楽しいもの。そんな気持ちが大事なのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SUCCESS
感想投稿日 : 2013年3月5日
読了日 : 2005年8月12日
本棚登録日 : 2005年8月12日

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