蓮の数式 (中公文庫 と 33-1)

著者 :
  • 中央公論新社 (2018年1月23日発売)
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本棚登録 : 257
感想 : 40
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雪の鉄樹からこの作家さんが気になっていたが、ブックオフには置いておらず、新品を購入。

最初から流石の筆力。ぐっと惹きつけられる。
目まぐるしく進む展開に、ページを捲る手が止められなくなる。

35歳の千穂は不妊であることから、マザコンの夫と義母から嫌味を言われ続ける毎日だった。
ある日夫が酒に酔った男を轢いてしまい、千穂に罪をなすりつけようとする。
謝罪の為、その男を探していた千穂はコンビニで偶然見つけ、そこで彼が算数障害であることに気付く。珠算教室の先生である千穂は彼の力になろうと彼の元に通う。
執拗に妻を監視する夫から、彼との関係を一方的に疑われ、これまで抑えてきた不満が爆発した千穂は、家を飛び出し、彼と共に逃亡する。

新藤賢治は蓮田を持つ農家だった。彼の妻の13回忌に、彼の妻を殺し服役していた大西理香の獄死を知る。何故最愛の妻が殺されなければならなかったのか?その真実を探し始める。

2つの話が交差した時、全ての真相が少しずつ浮かびあがる。


暗く、重く、辛く、苦しい時間が長いのだが、物語から目を離せない自分がいた。

それぞれの登場人物の、ほんの少しずつの過失が大きな事件を生み出してしまう。没頭してしまう作品だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年8月16日
読了日 : 2018年8月16日
本棚登録日 : 2018年8月16日

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