初絲山氏。
初挑戦なので作風がわからなかったのだが、どうやらいつもこんなトーンの作品を書く方らしい。
自堕落な主人公ケンジロウの目を通して語られる物語は、軽薄なのに理屈っぽい、リアリティ溢れるようでいてどこか不条理な奇妙な世界だ。
読んでいて楽しい物語でもない。どちらかというと不快を感じるくらいのストーリーなのだが、不思議と引き込まれあっという間に読了した。
何をどこまで描くか、どういう言葉選びにするか、そのあたりの著者の絶妙なさじ加減の為せる技なのかもしれない。
一歩間違えると嫌悪でだけで終わってしまいそうだが、他の著者の作品もちょっと読んでみたくなる、癖になりそうな感じだ。
思いのほか文学的に幕を閉じるラストも悪くない。
オマージュ的に取り上げられるカミュの「異邦人」も、どんな話だったかすっかり忘れてるなあ。
読み返してみようかな。
余談。
初めて読むので短編なら入りやすいかな、と思って手にしたのだが、短編集じゃなかった…。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説(日本)
- 感想投稿日 : 2013年3月18日
- 読了日 : 2013年3月18日
- 本棚登録日 : 2013年3月18日
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