不愉快な本の続編

著者 :
  • 新潮社 (2011年9月30日発売)
3.26
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本棚登録 : 455
感想 : 99
3

初絲山氏。
初挑戦なので作風がわからなかったのだが、どうやらいつもこんなトーンの作品を書く方らしい。

自堕落な主人公ケンジロウの目を通して語られる物語は、軽薄なのに理屈っぽい、リアリティ溢れるようでいてどこか不条理な奇妙な世界だ。
読んでいて楽しい物語でもない。どちらかというと不快を感じるくらいのストーリーなのだが、不思議と引き込まれあっという間に読了した。
何をどこまで描くか、どういう言葉選びにするか、そのあたりの著者の絶妙なさじ加減の為せる技なのかもしれない。

一歩間違えると嫌悪でだけで終わってしまいそうだが、他の著者の作品もちょっと読んでみたくなる、癖になりそうな感じだ。
思いのほか文学的に幕を閉じるラストも悪くない。

オマージュ的に取り上げられるカミュの「異邦人」も、どんな話だったかすっかり忘れてるなあ。
読み返してみようかな。

余談。
初めて読むので短編なら入りやすいかな、と思って手にしたのだが、短編集じゃなかった…。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(日本)
感想投稿日 : 2013年3月18日
読了日 : 2013年3月18日
本棚登録日 : 2013年3月18日

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