天地明察

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009年12月1日発売)
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本棚登録 : 10402
感想 : 1854
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以前、「光圀伝」の読了を断念した身としては、同じ江戸時代の物語(もう戦国ではない)に身構えたものだが、まったくの杞憂だった。物語は改暦がテーマとなっている。改暦は天の動きを解明して、暦という人の作った理に落とし込む行為であり、暦は権威、権力と結びつく宿命にあるわけだけど(エジプト、ローマを見よ)、けっして難しい読み物ではない。もちろんそんな側面もありつつ、主人公の渋川春海の青春物語として成り立っていて、恐ろしく軽やかで、爽やかで、読んでいて心地良い。ニコニコしながら読んでると、突如悔しさや悲しさや怒りが押し寄せてきて、その後また爽やかな心地が訪れる。さらに、いつのまにやら明治維新の構図がわかったり、江戸幕府が安定した統治を行えた構図がわかったりもするお得さだ。とりあえず読んで、コロナ疲れを癒していただきたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史小説(国内)
感想投稿日 : 2020年9月3日
読了日 : 2020年9月2日
本棚登録日 : 2020年8月23日

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